文=丸山素行 写真=古後登志夫、野口岳彦

「彼らほどのインパクトを持った選手はいなかった」

今週末に韓国との国際強化試合に臨み、月末のワールドカップアジア予選への準備を進める日本代表。今回のメンバーには日本人初となるNCAAトーナメントに出場した八村塁、帰化申請が通ったBリーグ最強の元外国籍選手ニック・ファジーカスが選出され、インサイドには過去最強のメンバーが揃った。

長らく日本のゴール下を支えてきた竹内譲次は「ファジーカス選手だったり、八村選手が入ったのは間違いなくプラスになる」との確信を得ている。それと同時に「だからといって簡単に勝てるほど甘くはない」と、危機感は忘れない。

フリオ・ラマスヘッドコーチは八村を3番か4番、ファジーカスを4番か5番で起用すると明言しており、竹内はパワーフォワードのポジションを彼らと争うことになる。「もちろんすごい戦力だと思います。彼らに刺激をもらって、お互いに良いところを引き出し合って、時には競い合ってチーム力を上げていきたい」

「競い合って」との言葉を口にしたが、竹内のポジションを脅かす選手はここ10年現れなかった。竹内も「彼らほどのインパクトを持った選手というのは、これまでいなかったかも」と認める。予選の4試合中3試合で先発を務め、プレータイムは平均19.1分とフロントコート陣ではアイラ・ブラウンに次いで長かった竹内だが、その起用法も2人の加入により変化があるだろう。

だが、竹内は久しぶりのチーム内競争に強い気持ちを見せた。「アスリートとして、2番手3番手でいいやという気持ちは絶対持ってはいけないなと。それは自分のパフォーマンスを下げてしまうので、相手がどういう選手であれ、そういう気持ちを持ち続けることがアスリートとして大事なことだと思っています」

竹内だからこそ必要となる、代表のバスケへのアジャスト

竹内はルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチの下、連動したチームバスケットでBリーグを制した。シーズン中にこれでもかというほど繰り返し練習してきたことで、その動きは身体に染みついている。それは強みでありつつ「ルカコーチに教わったことを持ち込みすぎず、ラマスコーチのバスケットに上手くアジャストしていかなきゃいけない」と頭の切り替えが必要と語る。

それでも代表活動だけに集中できる環境が整っているため、シーズン中ほどの大変さは感じていない。「今までのWindow1、2はシーズン中にあった試合で、切り替えは難しかったんですけど、今回は1カ月弱あります。時間的にも猶予があるし、心に余裕もあるので、そういう意味ではしっかりアジャストしていきたい」

シーズン終盤は優勝へのプレッシャーに押しつぶされそうになり、「早く解放されたい」と漏らしていた。それでも優勝を勝ち取り、オフコートでの活動が続くと「オンコートに戻ってきてやっぱりこっちの方が合っているなという感じがします(笑)」とモチベーションには事欠かないようだ。

久しぶりに登場したライバルとの競争を楽しみつつ、あらためてバスケへの熱い気持ちに気づいた竹内。これまで以上のパフォーマンスに期待が持てそうだ。