文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、B.LEAGUE

琉球には想定外だったパーカーの22得点10リバウンド

チャンピオンシップのセミファイナル第1戦、千葉ジェッツは琉球ゴールデンキングスを相手に74-61と快勝した。勝敗の分かれ目となったのは第3クォーターの出だしだった。前半、千葉は30-22とリードして折り返したが、ロースコアは琉球にとっても望み通りの流れであり、8点リードほどには楽観できない展開だった。しかし、千葉は第3クォーター出だしで琉球のターンオーバー連発という乱れをしっかりと得点に結び付け、一気に引き離す。

そして残り7分42秒、アキ・チェンバースのスティールからのパスを受けたマイケル・パーカーが速攻でレイアップを沈め38-24と突き放すと琉球はたまらずタイムアウト。この得点を筆頭に、この試合のパーカーは22得点10リバウンド3スティールと攻守にわたって躍動した。

千葉のインサイドとしてはギャビン・エドワーズが大黒柱であり、この試合でもエドワーズは26得点10リバウンドとチームをけん引。琉球にとっても、エドワーズにやられてしまうのはある程度は想定内であったはず。しかし、エドワーズに加え、パーカーにまで20得点、さらには2桁リバウンドの20-10を記録されるのは予想していない大きな痛手であっただろう。

実際、琉球の佐々宜央ヘッドコーチも、「ギャビンのところは割と悪くなかったです。ギャビンの得点は多いですが、彼よりも今日はパーカーにやられてしまったというのが大きかったです。プレーオフモードになってリバウンド、スティールで、いつもよりもうひと伸び、手が出てくる。後半、こっちに流れがくるかなという場面で得点を取られたりしました」とコメント。エドワーズ以上に、パーカーに要所でやれたのが響いたと振り返っている。

「40分プレーしてくれと言われても大丈夫」

第3クォーターの猛攻について、パーカーは「前半を終え、スローテンポのバスケをしたい相手の展開になっていたので、速い展開に持っていくことを意識していた」と言う。そして、ファイナル目前というこの大一番での活躍について、百戦錬磨のベテランらしいコンディション調整の巧さがあるようだ。

「レギュラーシーズンは60試合、常に良いコンディションを維持し全力プレーをするには僕は年を取りすぎている。それができたら、得点、リバウンド、スティールともっと良い数字が残せている。レギュラーシーズンでは、ここぞという勝負どころでしっかり力を発揮できるように考えてプレーしている部分はある」

「レギュラーシーズンでは時にこのような調整をする必要も出てくるけど、プレーオフになれば違う。40分プレーしてくれと言われても大丈夫。自分のベストを尽くすだけだし、どんな活躍をできるかは分かっている」

「そして何よりも激しくプレーすることだ」

bjリーグ、NBLで長らくプレーしてきたパーカーは、NBL時代の和歌山トライアンズ、アルバルク東京時代に2年連続ファイナル出場を経験するなど、プレーオフの経験も豊富だ。

「試合全体を通していつも以上に集中しないといけない。何が起こるか分からないからね。そして、より激しいプレーをすることだね」と短期決戦の心得を説く。第2戦に向けても油断はない。「明日の琉球は、今日とは違うチームとなるだろう。彼らは外角シュートが良いチームであり、相手の攻め方にしっかり対応しないといけない。そして何よりも激しくプレーすることだ」

あらためて激しくプレーすることの大切さを強調したパーカー。彼が得意のコンビプレーによるゴール下へのアタック、リバウンドやルーズボールへの飛び込みなど、攻守に渡って激しいプレーを遂行すれば、相手チームにとってこれほど嫌なことはない。千葉がチーム初のリーグ戦ファイナル出場の切符をつかむためには、パーカーの活躍が欠かせない。