東芝体制が終焉を迎えた川崎ブレイブサンダースに見る『長き歴史はクラブの宝』

2018/05/19
Bリーグ&国内
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文=泉誠一 写真=吉田武、B.LEAGUE

今シーズンは節目の50年目だった日本トップリーグ

5月15日、Jリーグは創設から25年目を迎えた。プロ野球に至っては84年の歴史を誇る。平坦な道ではなく、集客の落ち込みやクラブの消滅など危機的状況も経験してきた。それでも止まることなく前進し続けてきたことで、揺るがないリーグを作っている。Jリーグもプロ野球も日本のスポーツ文化を支え、多くの方々にとって生活の一部になった。

歴史を積み重ね始めたばかりのBリーグは、2年目のクライマックスを迎えている。トップリーグとしての歴史は長く、第1回日本リーグは1967年に始まった。今シーズンでちょうど50年目である。発足当時の8クラブの中で、今なお存続しているBリーグのクラブはたった一つしかない。現在B3で、企業チームとして活動している東京海上日動ビッグブルーである。

B1クラブで最古のトップリーグに参戦しているのはサンロッカーズ渋谷だった。1969年、前身の日立本社が1部リーグに参戦。すぐさま翌年には降格し、再びトップリーグに戻ってきたのは1998年のこと。しかし、その時に1部昇格を果たしたのは、もう一つの前身である日立大阪の方だった。翌1999年は日立本社と日立大阪の2つの『日立』が1部リーグで競い合う。JBLスーパーリーグが開幕した2000年、2つの『日立』が統合し、SR渋谷の長き歴史を作ってきた。

同じく2000年に日本最古のプロクラブとして誕生したのが、新潟アルビレックスBB(当時・新潟アルビレックス)である。2部リーグからスタートし、2002年に1部昇格。しかし、チケット収入で生計を立てなければならないプロクラブにとっては28試合しかない状況は厳しく、企業チームとの格差は広がる一方だった。その状況を打破すべく、トップリーグを脱退して2005年に誕生させたのがbjリーグである。6クラブからスタートしたが、11シーズンを終えた時点では24クラブまで膨れ上がった。JBL後にプロを目指して誕生させたNBLも、下部リーグのNBDLと合わせて22クラブが存在。そのためBリーグは、B1からB3まで大所帯で始まったのはご存じのとおりである。

東京芝浦電気として1950年創部、68年の歴史に幕

チャンピオンシップ・ファーストラウンドで千葉ジェッツに敗れた川崎ブレイブサンダースは、早々に今シーズンを終えた。同時に、一つの長い歴史にも幕を閉じた。1950年創部、東京芝浦電気の名で1983年に1部昇格。『タイガー』と『クーガー』の2つのディビジョンに分かれていた時代のラストシーズンとなる1999年に初のリーグ制覇を果たした。

その後のJBLスーパーリーグでも2004年に頂点に立った。3シーズンしかなかったNBLだが、最初(2013-14)と最後(2015-16)の2シーズンを優勝している。Bリーグ元年は準優勝。レギュラーシーズンは49勝11敗の最高勝率を記録。今シーズン1位のシーホース三河が48勝12敗であり、その記録は破られていない。

1999年に初優勝した時のMVPが、現ヘッドコーチの北卓也である。選手からヘッドコーチへと立場は変わったが、一つのクラブを全うしてきた北にとって、「東芝のためにも有終の美で終わりたい」という思いで今シーズンを戦っていた。しかしファーストラウンドで敗退し、「東芝にもそうだが、ファンや支えてくれる人たちの期待に応えられず本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と頭を下げた。2012-13シーズンから在籍しているニック・ファジーカスは、「東芝のおかげで落ち目だった自分のキャリアを取り戻すことができた」と感謝している。来日当初から「このチームで現役を終えたい」とも言っていた。東芝=川崎への忠誠心は強く、それだけ優良なクラブあることを言い表している。

これからも歴史を紡ぐ川崎ブレイブサンダース

歴史を振り返れば、企業がクラブを手放すことは廃部や休部を意味していた。しかしプロとなった今はクラブの在り方も大きく変わっている。来シーズンから運営こそDeNAにバトンタッチされるが、川崎ブレイブサンダースとしてはこれからも変わることなく歴史を紡いでいく。オーナーはいるが、プロクラブは個人所有物ではない。その地域の公共財である。チームを強くするビジョンを示し、そこで活躍する選手たちが輝き、なおかつ街や地域住民たちを少しでも豊かにしてくれるならば、誰がオーナーだって構わない。

リーグも同じく公共財のはずだが、これまでは継続しきれなかったのがバスケの歴史でもある。クラブは脈々と歴史を築いてきたが、リーグがコロコロと変わったことで過去の優勝回数、選手のスタッツや受賞歴も思うように上積みできずにきた。歴史は宝である。年月を重ねた重みがクラブの勲章となり、応援するファンにとっての大きな誇りになる。