写真=Getty Images

熟知するキャバリアーズへの対策を伝授

周囲の期待を良い意味で裏切り、2年連続カンファレンス決勝に勝ち上がったセルティックス。カイリー・アービングがレギュラーシーズン終盤にひざの手術を決断し、プレーオフには出場できないと決まった直後は、プレーオフ1回戦敗退もあり得ると見られていたが、ファーストラウンドでバックスを第7戦の末に破り、準決勝では今シーズン最大のサプライズチームであるセブンティシクサーズを撃破した。

エース抜きでプレーオフを戦う破目に陥ったものの、そのアービングは、若い選手が多いチームにプレーオフで戦う心得を説いた。そして、下馬評では不利と言われているキャバリアーズとのカンファレンス決勝を前に、再び『軍師』アービングが動いた。

セルティックス公式サイトのリポーターによれば、アービングは指揮官ブラッド・スティーブンズに古巣キャブズの対策法を伝授したという。

ペイサーズとの熱戦を制したキャブズは、ラプターズをスイープで破り、4年連続のカンファレンス決勝に進出。特にレブロン・ジェームズのコンディションは最高で、試合を重ねるごとに完璧に近づきつつある。

レブロンを完全に封じることはできなくても、昨シーズンまでキャブズに所属したアービングなら、試合中に『キング』のペースやリズムを狂わせる方法を知っていても不思議ではない。またケビン・ラブ、JR・スミス、トリスタン・トンプソン、カイル・コーバーら今のキャブズを支えている選手ともプレー経験があるため、それぞれの特徴を把握してもいる。

セルティックスを預かる『知将』ブラッド・スティーブンズは、ゲームプランを立てることに優れた指導者だ。シクサーズとの準決勝では、新人王受賞が濃厚なベン・シモンズを無力化するプランを実行。この頭脳にアービングの兵法が合わされば、戦力で上回るキャブズに対抗できるのではないだろうか。

もっとも、キャブズ対策が必要になる場合は、レブロン以外のメンバーが好調な場合に限る。ラブ、コーバー、スミス、トンプソンが不調なら、抑えるべき選手はレブロン一人になるからだ。しかしレブロンは、シリーズの流れを一変させる『ゲーム・チェンジャー』としても歴代トップクラスで、サポーティングキャストがスランプでも気は抜けない。その時こそ、『軍師』アービングの対策法が役に立つ、というわけだ。

試合には出場できなくても、アービングは後方からセルティックスを支援し続けている。今シリーズでも、その存在の大きさが再びクローズアップされるようになるかもしれない。