取材・写真=鈴木栄一 構成=丸山素行

「ウチは良い環境のクラブ」とサポートに感謝

今週末、いよいよチャンピオンシップがスタートする。川崎ブレイブサンダースはワイルドカード上位での出場となり、千葉ジェッツと対戦する。その千葉との戦いも含めたレギュラーシーズンラスト5試合を4勝1敗で終え、チャンピオンシップへ仕上がったと言える。唯一の懸念はケガで離脱している篠山竜青の状況だが、話を聞く限りそちらも良好のようだ。

昨日の練習後に取材に応じた篠山は言う。「今日もやりましたけど、ケガをしてない状態と同じ練習をやっています。コートに出れば全力でプレーできる準備はしています」

篠山は4月27日の京都ハンナリーズ戦で右足を負傷した。クラブリリースには、全治2~3週間程度のケガと記されていた。「僕も腫れ方を見て間に合うか不安だったんですが、日に日にケアしていく中で飛躍的に回復していきました。自分でもビックリするぐらい、あらためてウチは良い環境のクラブだと感じています」と川崎のサポート体制の充実ぶりに感謝する。

ファジーカス帰化後の連携「不安は全くない」

篠山が復帰できることに越したことはないが、一つ気がかりなのは連携面の問題だ。特にニック・ファジーカスが先日帰化を果たしたことによって、ジョシュ・デービスやルー・アマンドソンのプレータイムが増え、ローテーションにも変化が予想されるからだ。

それでも篠山に不安はない。「ニックの起用に関しての不安は全く持っていません。6年間ずっと一緒にやってますし、すんなり入れるんじゃないかなと」。実際川崎はファジーカス帰化後初めての試合で、千葉を相手に100点ゲームの完勝を収めている。

短期決戦のチャンピオンシップは、強度や懸ける思いなど、レギュラーシーズンとは別物の試合になる。復帰初戦がチャンピオンシップなのだから、プレッシャーに感じてもおかしくはない。それでも篠山はジョークを交えて問題ないことを訴えた。

「もうちょっと痛ければ富樫(勇樹)に抜かれても『足が痛いので』と言えるんですけど、残念ながら言い訳にできるような状態は通り越してしまったので、怖さはないです(笑)」

「忘れられないように早く戻らなきゃ」

主力選手の負傷によってチームの負けが込むようなことがあれば、当事者は自責の念に駆られるものだ。しかし、川崎は篠山不在で強豪を撃破した。「京都戦の2戦目もそうだし、千葉戦も三河戦もあまりにも良いゲームをしてくれたので、忘れられないように早く戻らなきゃという気持ちが大きかったです」と篠山は逆の感情に駆られたという。

「少し距離を置いて見て、あらためて優勝を狙える良いチームに成長してるんじゃないかと思いました」という篠山の言葉は、偽りなき本音だろう。ケガ人が復帰しても、チームの成績が思うように上がらないパターンももちろんある。だが篠山は「自分が入ることによって厚みを持たすこともできる」と自信を持って発言した。

チャンピオンシップのクォーターファイナル、千葉との注目の1戦は5月12日、船橋アリーナで14時5分ティップオフとなる。ここに篠山が本当に間に合えば、川崎にとっては大きなプラスとなる。当日の篠山は川崎に更なる戦力を上乗せすることができるか。