文・写真=鈴木栄一

第4クォーターまで我慢の展開、そこから一気に勝ち切る

5月5日、千葉ジェッツがホームの船橋アリーナで琉球ゴールデンキングスと対戦。終盤までもつれる激闘となったが、要所で3ポイントシュートを決めた千葉が粘る琉球を振り切り、80-76で競り勝った。これで千葉の東地区優勝でチャンピオンシップ第2シード、琉球の第3シードが確定している。

第1クォーター序盤、琉球が5点をリードするが、ここから千葉は富樫勇樹、小野龍猛の3ポイントシュートなどで連続10得点を挙げ12-7と逆転する。しかし、琉球はここからベンチスタートの石崎巧が3ポイントシュートを2本沈める活躍。さらに終了間際、岸本隆一がシュートを沈めるなどで琉球が20-14と先手を取ってこのクォーターを終える。

第2クォーターに入っても琉球はリードをキープしていく。そして、残り4分半から石崎巧、古川孝敏が連続3ポイントシュートを沈めリードを9点にまで広げる。たが、千葉もギャビン・エドワーズのインサイドアタックで応戦すると、残り30秒にマイケル・パーカーがシュートを沈め、千葉の34-35と互角の展開で試合を折り返す。

第3クォーターは互いに譲らない一進一退の展開が続くが、第4クォーターになると千葉に得意のトランディションオフェンスが出始める。西村文男が速攻からのレイアップ、3ポイントシュートを沈めると、さらにオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスでレオ・ライオンズがダンク。これで60-54とリードを奪うと、琉球はたまらずタイムアウトを取った。

しかし、このタイムアウトの後も千葉の流れが続き、残り約3分半に小野龍猛の3ポイントシュートでリードを10点に。直後、琉球は古川が3ポイントシュートを入れ返すが、次のオフェンスで千葉は再び小野が3ポイントシュートを沈める。これで勝負あったかと思われたが、琉球も粘りを見せ、残り1分に田代直希の得点で4点差にまで迫る。だが、千葉は残り35秒にマイケル・パーカーが本日16得点目となるダメ押しのシュートを沈めて、熱戦に終止符を打った。

トランジションオフェンスができない中での『我慢』

千葉の大野篤史ヘッドコーチは、試合をこう振り返る。「最後、責任感の強さから俺がやってやるという気持ちを持つことで孤立してしまうというのが自分たちの悪いところでした。今日はトランディションオフェンスができない中、第4クォーターに走れるチャンスが来るまでディフェンスでしっかり我慢しました。そして、ハーフコートオフェンスで、インサイドアウトでボールを右から左へ動かせたことが勝因だと思います」

この試合、千葉は富樫が13得点10アシスト。ギャビン・エドワーズが18得点7リバウンド3アシストをマーク。石井講祐の16得点も大きかったが、オフェンスの柱である2人がしっかり仕事を果たした。

前半の3得点3アシストから後半に立て直した富樫は、「今日はプレーオフのような試合となり、そういうところでしっかり勝てました」と、ともに主力が30分プレーする、コンディション調整とは無縁のガチンコ勝負で、チャンピオンシップで勝ち進めば戦う可能性がある相手に勝てた意義を語る。

敗れた琉球にも収穫「抑えられる可能性を見いだせた」

敗れた琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、敗因をこう語る。「第3クォーターにターンオーバーによって相手に速攻を許してしまいました。攻めのプレーのよるものではなく、一つひとつの油断からしょうもないミスをしてしまったのが非常に悔やまれます」

ただ、一度は2桁のビハインドを背負いながら、そこから4点差に迫る粘りを見せたられたことには「収穫はクロースゲームに持ち込めたこと。ここは成長してきています」と手応えを語る。

また、富樫、エドワーズという千葉の2大エースへの対応についても収穫はあったと言う。「メインの富樫とギャビンへの守り方は、スタッツ的には派手な数字になっていますが、結構満足しています。それは2人のターンオーバーの数に現れています(富樫、エドワーズともに5つ)。彼らを抑えるのは難しいですが、そこでよく頑張って抑えられる可能性を見せられた」

両チームともにこの試合の結果で、チャンピオンシップへの順位が確定。明日はいわゆる消化ゲームとなる。しかし、それでも千葉にとってはイートンこと伊藤俊亮の引退セレモニーがある節目のゲーム。琉球も4連敗でチャンピオンシップには臨みたくないはず。チャンピオンシップをより良い状態で迎えるために、今日も熱い戦いが期待できそうだ。