八村塁

徹底マークを受ける『ウィザーズの新たなエース』

ウィザーズは『バブル』でのシーズン再開3戦目でペイサーズと対戦。100-111と完敗を喫し、これで3連敗となった。

八村塁は、この試合でも厳しいマークを受けた。ボールを持っていない時にも相手に身体を寄せられて、良い形でパスを受けられない。得意のミドルレンジでのシュートも簡単には打たせてもらえず、ペイントエリアにアタックすればフィニッシュの際に複数のディフェンスに囲まれた。

もともとウィザーズにはチャンスメークも得点もできるエース、ブラッドリー・ビールがいる。これまでは彼が積極的に攻めて相手の注意を引き付け、八村は自分の得意な形で勝負できた。だが今は八村がその役割を果たさなければいけない。なかなか攻めに関与できなかった前日のネッツ戦とは違い、よりボールに絡んでオフェンスの起点になろうとする意図は見られたが、ペイサーズはその八村の動きを研究し、リズムに乗らせなかった。

八村の得点は9。ハイライトを見ても速攻の展開に持ち込む、シンプルな1on1でシュートに行くような簡単な得点が全くないところに、ペイサーズ守備陣の徹底ぶりが分かる。前半終了間際には強引なアタックでオフェンスファウルをコールされて苦笑いを浮かべる場面もあった。

ペイサーズでは右足大腿四頭筋腱断裂の大ケガの影響が残るビクター・オラディポがこの試合は欠場。それでも再開から絶好調のTJ・ウォーレンがゲームハイの34得点、新型コロナウイルスに感染して調整が遅れていたマルコム・ブログドンが復帰して20得点を記録するなど、チーム状況は万全ではないがパフォーマンスを落としていない。

第3クォーター終了時点で68-90。ここからウィザーズは猛反撃に出る。八村はリバウンドを拾ってそのままスピードに乗ってフィニッシュまで持ち込むコースト・トゥ・コースト、オフェンスリバウンドを取って相手のプレッシャーをかいくぐり、ジェローム・ロビンソンの3ポイントシュートをアシストするなど良いプレーを見せたが、点差を1桁にするのが精一杯。残り1分で7点差としたものの、最後はペイサーズが余裕を持って逃げ切っている。

3連敗と状況は決して良くないが、八村にとって6アシストはキャリアハイ。ターンオーバーはわずか1とミスを最少限に抑え、マークが厳しくなる中で相手を引き付けてのチャンスメークが機能しているのは収穫だ。

試合後の八村は「僕のスカウティングが相手チームにとっての一番。僕が1on1を仕掛けるとディフェンスが2人、3人すぐ来る。そういうところで6アシスト、そこはしっかりできたと思う。ただ途中でイージーなシュートを落としたので、そこは直していきたい」と語る。

ブラッドリー・ビールのケガはあるにせよ、ウィザーズにおいて相手に最も警戒される存在にはなった。ルーキーにとっては大きな成長だが、厳しいマークをかいくぐって結果を出し、チームの勝利に貢献する力がこれからは求められる。それは八村自身も理解しており、「相手も僕がどういうプレーヤーか分かっている。僕もこういう時にどう対応できるかがキャリアにおいて大事なところになってくる」と語る。

ここからはそれぞれ中1日を挟んでセブンティシクサーズ、ペリカンズ、サンダー、バックスとNBAの強豪との対戦が続く。チームが目標としているプレーオフ進出は厳しくなったが、若いチームがここで何を示すことができるか。無駄な試合は一つもない。