キングスを率いる佐々宜央『下克上戦記』vol.6~試練に立ち向かう4月を乗り越えて

2018/04/06
Bリーグ&国内
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文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、B.LEAGUE

今シーズンから琉球ゴールデンキングスを率いる佐々宜央。ヘッドコーチとしては新人ながら、優勝候補のチームを率いてここまで西地区を独走し、チャンピオンシップへ向けて順調に歩みを進めている。しかし、大事なのはこれから。チャンピオンシップで勝ち上がっていくためには何がカギになるのか。若き指揮官に話を聞いた。

「オープンショットを作って決めきるチームを作りたい」

──シーズ終盤を迎えたチームについて、いくつか聞かせてください。まず、ここぞという場面で点を取る『ゴー・トゥー・ガイ』と呼ばれるエースについてどのように考えていますか。琉球の外国籍選手は、帰化枠のアイラ・ブラウンを含め1対1で仕掛けていく典型的なスコアラータイプはいないという印象です。

おっしゃる通りで、ゴー・トゥー・ガイは他のチームになると外国籍選手が多いと思います。もちろん、ハッサン(マーティン)はよくつなげてくれています。ヒルトン(アームストログ)はそういうタイプではないですが、ディフェンスで頑張って、アシストもしてくれます。

アイラも帰化選手ですが、インサイドで(桜木)ジェイアールみたいに支配する感じではありません。誰がエースというよりは、チームとしてオープンショットを作って、それを決めきるチームを作りたいです。古川(孝敏)や岸本(隆一)にはそういう存在になってほしいのですが、勝負どころで特定の選手にボールを集中して預けてという感じを作るイメージはないです。

──古川選手、岸本選手への期待も含め、日本人を軸にしたチームにする意識はありますか?

それはあります。チーム作りも最初に外国人を決めたというよりは、日本人のメンバーを見て、どういう組織が組めるのかというところがまずありました。古川もゴー・トゥー・ガイとしては今のままではダメだと思います。去年だと、(ライアン)ロシターや(ジェフ)ギブスがいて、田臥(勇太)もどうにかしてくれましたが、今は違います。岸本も含めてダメな時でも勝負どころで決め切る力をつけてほしいです。

「リバウンドはガード陣がカギになる」

──琉球はサイズの小さいチームで、スピードというアドバンテージはありますが、当然のように高さの不利も出てきます。小さいチームが勝つために、何を植え付けていきたいですか。

優先順位的に難しいですが、まずは端的にパス能力を上げることですね。別に狭いところを通す技術ではなくて、単純にノーマークが生まれた時、その選手にしっかりパスを通すことです。例えばNBAでウォリアーズのすごいところは、みんなシュート力があるところですが、何がうまいかといえばオープンマンを確実に探せるところだと思います。このチームにもう少し求めたいのはそこの部分ですね。

──これは琉球だけでなく、日本代表にも共通してくる部分ですが、高さの不利がある前提でのリバウンドについてはどのように考えていますか。

まずは、チーム全体でどれだけリバウンドの意識を高めていけるのか、練習の中で積み上げていくことです。そして、ガード陣がカギになると思います。リバウンド争いでボールが外にこぼれた時のルーズボールに、どこまでガードが飛び込んでいけるのか。海外だとそこにガードがいて、ボールを取ってスピードを生かせてブレイクが出せます。

ポイントガードがこぼれ球を拾っていけるチームにしていきたい。そういうところで印象に残っているのが田臥さんで、昔、「なんで田臥さんはそんなにルーズボールに行くんですか?」って聞いたら「だってボール欲しいじゃん」って言われました(笑)。

単純ですが、ボールへの欲深さがすごくて、そういうところは今の琉球にも伝えていきたいです。リバウンドが取れないことを単純にサイズという言い方をしてしまうのは好きじゃないです。それは誰もが言える話だからです。

「チームを成長させる、良い相手が待ち構えています」

──シーズン終盤、メンバーを固定する時期になってきました。そんな中でもチームの底上げを図るために期待したいところはありますか。特に終盤になってプレータイムが少なくなってきている津山(尚大)は注目を集める存在です。

タレントレベルが低いとは言わないですが、ウチのチームには個人で局面を打開していくような選手はいません。その中で津山には得点力で期待しています。ただ、津山はまだ気持ちが弱く、格好良くまとまろうとしているので、そういうのを関係なくシュートを打ち切ってほしいです。

また、印象に残っているのは平岩(玄)が特別指定で合流していた時、ベンチ入りできない選手が出てくる人数になりました。そしてアウェーの遠征があった時、シゲ(金城茂之)が出発前日の練習の時に「俺、明日行けるの?」と聞いてきたことですね。彼はそういう危機感を持っています。シゲは一選手として試合に出たいという気持ちを持ち続け、少ない時間でも出るために何ができるんだろうと考えてくれている。ベテランですが、本当に練習でちょっとでもうまくなりたいという気持ちでやってくれています。

──いよいよ今週末からレギュラーシーズ最後まで川崎ブレイブサンダース、シーホース三河、アルバルク東京、千葉ジェッツという強豪との戦いが続くリーグ随一の過酷な終盤戦がスタートします。これらのチームと対抗できる道筋は見えていますか。

心技体の部分で心の部分は結構良いです。あとは戦術を含めた技術をどれだけ高められるか。全体的には良くなっていると思います。ただ、上位陣はやっぱり異常な力を見せてきます。個人の力だけでなく、すごいスカウティングをしてくるところもあるかもしれません。そういう時、ゲーム中にどれだけ賢く対応できるかがコーチ陣も含めて問われてくる。今、課題を翌週に修正できる力はついてきていますが、試合中にどれだけアジャストできるかがカギになります。

4月は試練に立ち向かう月だと思いますが、それに真っ向から試練に向き合うことで、最後の5月、プレーオフ直前にそれを乗り越えている、臨機応変に対応できるチームになっていたいという感覚です。チームを成長させるための良い相手が待ち構えていますので、この試練を乗り越えチャンピオンシップにはホーム開催で沖縄の皆さんの声援を背に戦える順位で終わりたいです。