増田匡彦

「僕としては爆発の予感は感じていたんです」

──Bリーグになって4年が経過しました。これまでの取り組みで一番の成功は何だと思いますか?

1年目の開幕戦、いわゆる『9.22』ですね。運営責任者として無事に終わったことがまず良かった。ですが、一番はLEDコートです。途中でトラブルがあったらどうするんですか、と実は僕は反対していたんですけど(笑)、あのおかげですごく注目されてスタートを切ることができました。その一方で、あの開幕戦がいまだに一番の成功であることは課題です。今のBリーグの認知は60%ぐらいです。Jリーグは85から90%でプロ野球は90から95%ですから、野球とサッカーとバスケで『3大スポーツ』だとか、日本を代表する国民的なスポーツとはまだ言えません。

野球やサッカーに近づいているとは思いますが、国民の誰もが認識して日常的に会話の中にBリーグが出てくる環境にはなっていないので、これで成功かと言えばそうではありません。認知に関しては2016年の開幕からそんなに伸びていないのが現状です。

組織として大きくなり、収入もお客さんの数も増え、クラブの売上も伸びています。良い選手も増えて来たし報酬も上がりました。でも認知があまり伸びていない。ということは、好きな人はすごく好きで、一度行った人は何回も行きたくなるし、そこにお金を使ってもいいと考える。つまりはコアになってきているのですが、同時に新しい人が入って来ていないのが課題です。

──それはどこに問題があったのでしょうか。

Bリーグとしても人数が増えて組織が大きくなり、2016年よりパワーはあると思いますけど、『BREAK THE BORDER』だ、LEDコートやろうぜ、というブッ飛んだ勢いは薄れつつあると感じてもいます。日常業務も増えて気にしなければならないことも多くなり、組織として成熟したとも言えますが、ベンチャー魂は忘れたくないですね。もう一回その火をつけるにはパワーが必要ですが、やらなきゃいけない。LEDコートだってチャンスがあればもう一度やりたいです。あれから4年、スポーツで使った例はありませんが、コンサートでは当たり前になっているので、あれぐらいのインパクトは残したいですね。当時は反対してましたけど(笑)。

ただ、昨年は8月の国際強化試合が盛り上がった一方でワールドカップでは1勝もできず、皆さんが相当がっかりしたのは肌で感じました。それでも昨シーズンのB1で平均来場者数が3000人を切ったことはなかったんです。それまではだいたい3000人、水曜日のゲームだと2400人ぐらいだったのですが、すべてで3000人を超えました。これは各クラブが地固めをして、その掛け算ができた結果です。この夏は親善試合があってオリンピックがあって、その次のBリーグに向けたプロモーションも綿密に立てていたし、僕としては爆発の予感は感じていたんです。すごく楽しみにしていただけに、新型コロナウイルスですべてなくなってしまったのは残念です。