
絶好調のカリーをフィジカルで圧倒、3得点に抑える
現地4月6日、ロケッツは敵地でウォリアーズに106-96の勝利を収めた。ウォリアーズはジミー・バトラー加入以降は21勝6敗と絶好調だったが、その連勝を5で止めている。
サイズと運動能力、若さを凝縮させたロケッツのディフェンスが、ウォリアーズの美しいオフェンスを破壊した。その標的となったのはステフィン・カリーで、直近の3試合で52得点、37得点、36得点を挙げ、23本の3ポイントシュートを50%の確率で決めまくっていたウォリアーズのエースは、フィールドゴール10本中1本成功の3得点に終わり、完全に封じ込められた。
そのディフェンスで主役を演じたのが2年目のアメン・トンプソンだ。カリーがコートのどこにいても強烈なプレッシャーを掛け続け、自陣でのリスタートの時でさえ執拗にボールを狙いにいった。過度にフィジカルなディフェンスに、それにファウルを取らない判定に、その守備に自分が苦しめられている状況に、カリーはフラストレーションを溜めていった。
オークランド出身のトンプソンにとって、カリーは子供の頃から見てきたスター選手だ。「それで普段より気合いが入ったかもしれない」と笑うトンプソンは、「彼の動きを制限して、できるだけオフェンスに関与させず、リズムをつかませないように」と、カリー封じで心掛けたことを明かす。
「彼がイライラしているかどうかは分からなかった。ずっと彼の動きに集中していたから気付きそうなものだけど、気付かないぐらい集中していたんだと思う。でも、打ちたくないシュートを打たせていたのは分かった」
カリーは1本のフリースローも得られず、試合途中に審判とコミュニケーションを取った際、ロケッツ指揮官のイメイ・ユドカが会話に割って入るシーンもあった。スキルがフィジカルに破壊される状況に、ウォリアーズ側は文句の一つも言いたかっただろう。それに対してユドカは、「相手が判定に文句を言い始めたり、フィジカルなプレーを嫌がる素振りを見せていたら、我々の仕事は上手くいっている」と胸を張る。
カリー以外のところでもそんなマッチアップが続き、ウォリアーズの選手たちは集中を切らしていった。その結果が20のターンオーバーで、これはロケッツのボール奪取が上手かったというよりも、フィジカルな守備に手を焼いたウォリアーズが普段はやらないような簡単なミスを連発した結果だ。集中力の低下は攻めから守りへの切り替えの判断力も鈍らせた。ロケッツは面白いようにブレイクを出し、若さと身体能力で速攻のチャンスを得点に繋げていった。
ロケッツにとってのウォリアーズは、ジェームズ・ハーデン時代に何度も挑んでは打ち破られた因縁の相手だ。再建されたチームで当時を知る者はおらず、レギュラーシーズンの1試合ではあっても、この対戦で完璧な勝利を収めることには意味がある。
そして、ロケッツの意識は来るべきプレーオフに向きつつある。ユドカは言う。「プレーオフに備えて様々な課題を投げ掛けているが、選手たちは上手く対処している。プレーオフでは今まで以上のレベルでプレーする必要があることを理解した上で、フィジカルを強化し、プレーの激しさをさらに上げ、攻守両面でしっかり集中できている。自分たちのやり方でディフェンスをし、そこから自分たちの望むオフェンスを作り出す。そんな攻守をプレーオフで実現させたい」