文=丸山素行 写真=野口岳彦、B.LEAGUE 

敗戦濃厚から3ポイントシュート連発のカムバック

横浜ビー・コルセアーズは新潟アルビレックスとの初戦で3点差の惜敗を喫した。敗れはしたものの、川村卓也は9本の3ポイントシュートを含むシーズンハイの32得点を挙げる大爆発を見せた。特に第4クォーター最終盤、残り37秒から決めた3本の3ポイントシュートは見る者を魅了し、敗色濃厚だったゲームをエキサイティングなものへと変えた。

川村は試合を振り返り、「出だしに尽きると思います。出だしの悪さで最後まで逆転できなかった」と立ち上がりのディフェンスを敗因に挙げた。「あれだけ簡単にレイアップで点数を取られて、リズムを与えてしまったということは、自分たちのディフェンスの強度が弱かったということです。そこが一番じゃないかと思います」

序盤で2桁のビハインドを背負い、長い間追いかける展開が続いた。終盤に一度は追い付くも、その先が続かず突き放された。尺野将太ヘッドコーチはその時間帯を「エネルギー切れ」と表現したが、川村はその言葉に敏感に反応した。「1試合終わる前にエネルギー切れしてるんじゃないよってことなんですけどね。試合が終わるまでの集中力を持っていないというのが、今の僕らの弱さだと思います」

「弱いチーム特有の詰めの甘さがある」

川村はプロフェッショナルとしての目線で現状に苦言を呈する。「試合がエンターテイメントだとしたら、トリを見せる前にエネルギーが切れてるエンターテイメントなんてない。ビハインドで火がつくんじゃなくて、自分たち自身で火をつけることができれば今日のゲームは変わったと思う」

監督にエネルギーが切れてるって印象を持たれるのは恥ずかしいですし、周りにそう思わせてしまうのは僕らの失敗だと思う」と川村は厳しい言葉をあえて口にした。

反省の言葉を多く発するがポジティブな場面も多々あった。川村もその点については胸を張る。「相手同様にインサイドで1on1できましたし、アタックして(ダバンテ・)ガードナーをファウルトラブルにさせ、試合に出させないようなシチュエーションにしたという成功もあるので、悪いところばかりではないんです」

「最初の10点差がなければ、そのエネルギーでやればリードしてるわけです」と後半のスコアだけを見れば、52-42と横浜が上回っている。そのことがなおさら悔しさを倍増させる。勝利という結果を出せていない現状に、「弱いチーム特有の詰めの甘さがある」と現実を見つめた。

「最後の3ポイントも入らなかったら負けは負け」

川村は昨日の試合で11試合ぶりに先発を外れた。「シーズン終盤になってくると、疲れだったりケガだったり不安定になってくるので、今週はそのバランスがうまく取れなくて、チーム練習にうまく参加できなかった」と調整ミスが理由であることを明かした。

結果論ではあるが、敗因が序盤のパフォーマンスだったことを考えれば、川村が先発から外れたことも少なからず勝敗に影響していたということだ。「僕がスタートを外れたことでスタートが悪くなったと言えば僕の責任です」と川村もそれを認めている。

シーズンハイのパフォーマンスにもかかわらず、川村の表情は終始暗い。9本の3ポイントシュートを成功させたことよりも、最終盤に決められなかったシュートの重みがそうさせていた。「追いかける時の2本と、最後の残り何秒かで打った3ポイントシュートが外れていることのほうが今日の印象としては大きいです。2本連続で外したところを1本決めていたらその後の展開も全然違っただろうし、最後の3ポイントも入らなかったら負けは負けです」

「いくら過程が良くても結果に結び付けられなかったら、結局、見に来てくれたブースターさんは負けた印象で帰るので、それが非常に悔しいです」

この悔しさを今日の第2戦は晴らせるか。生粋のエンターテイナーとして、興奮と勝利をブースターに届けることを期待したい。