文・写真=鈴木栄一

西宮は貴重な収穫を得るも勝たず、連敗は12に

3月9日、川崎ブレイブサンダースが本拠地とどろきアリーナで西宮ストークスと対戦。シュート成功率59.3%が示すように序盤から高確率でシュートを沈めると、本日ベンチ入りした12名全員が得点するオフェンス爆発で99-75と、前日(96-89)に続く大量点で同一カード連勝を飾った。

第1クォーター、西宮は試合開始から5点を連取するが、川崎はここから辻直人の3ポイントシュートなど9点を連取。これで試合の流れをつかむと、巧みな連携からイージーシュートの場面を次々と作り出す。このクォーターで計14本中10本とほぼミスなしでシュートを決めた川崎は、28-15と2桁リードで第1クォーターを終了。第2クォーターも常に2桁のリードを保ち、前半を43-27で折り返す。

第3クォーターに入ると川崎は、大黒柱のニック・ファジーカスがこのクォーターで10得点を挙げる。さらに長谷川技も辻のピンポイントパスからのレイアップなど8得点と着実に加点。しかし、西宮もこの日、22得点を挙げた道原紀晃の奮闘で食い下がり、点差を縮める。

第4クォーター、西宮としては序盤に得点連取で流れを引き寄せたいところだったが、逆に川崎がファジーカス、藤井祐眞による連続得点などで突き放しにかかる。残り約6分半にはジョシュ・デービスが豪快なダンクを叩きこんで19点差。最後まで攻撃の手を緩めずに圧勝した。

指揮官は藤井祐眞を称賛「いなければならない選手」

この試合、川崎は篠山竜青が2得点、辻が6得点に終わりながら、ファジーカスの22得点を筆頭にデービス17得点、藤井16得点、栗原と長谷川が10得点などバランスの取れたオフェンスを展開。また、フリースローを計30本中24本成功と確実に沈めたのも光った。

川崎の北卓也ヘッドコーチは、2試合続けての大量点でしっかり連勝したことを評価しつつも、守備について次のように課題を挙げる。「ファウルが22回ありました。不要なファウルがいくつかあって、もったいない。ハードなディフェンスをするけれど、ファウルを与えると流れが相手にいってしまう」

ただ、もちろんポシティブな面もあり、特に前日の15得点に続き、16得点を挙げるなど攻守にわたってチームに勢いを与えて藤井については大きな信頼を寄せている。「流れが悪い時に出ても、ディフェンスで彼が前からプレッシャーをかけてくれることで、後ろの選手たちの守備も良い流れに乗っていけます。また、オフェンスではシュートタッチが良く、他の選手が得点を決まらない時、藤井が決めてくれることで得点が止まらないです。セカンドユニットを引っ張ってくれる選手で、1番、2番の両方をしっかりこなしてくれる。ウチにいなければいけないベンチプレーヤーですね」

負けても収穫の西宮「非常に良い2試合になった」

一方、連敗ストップならずで厳しい戦いが続く西宮の髙橋哲也ヘッドコーチは、「ディフェンスに尽きると思います。相手の高い2点のシュート確率が示すように、思い浮かぶだけでもハーフコートで相手にレイアップを打たれるシーンが3回はありました。そこのミスを抑えていかなければいけない。こちらのミスで失点している部分が多いので、コミュニケーションを絶やさないなど基本な部分に立ち返るしかないです」と、守備の乱れを敗因に挙げる。

ただ、次のような収穫も得たと続けている。「負けてしまい反省するポイントはたくさんありますが、それだけでなく今日も75点をとれたのは収穫です。今、僕たちに大事なのはシーズン終盤に向かっていくにあたり、得点やディフェンスのパターンとか、ローテーションのパターンを作っていくこと。そういう意味では非常に良い2試合になったと思います」

次節もアルバルク東京と強豪との対戦が続くが、ここまでで得た収穫を生かして何とか浮上のきっかけをつかみたいところだ。