スティーブ・カー

巧みな話術で選手たちを誘導

スマートフォンは現代人にとって欠かせないツールで、それはNBA選手にとっても同じだ。最近は試合が始まる直前までスマホを手放さない選手も少なくない。

ウォリアーズを率いるスティーブ・カーは若い選手の気持ちを理解し、ロッカールームでの携帯使用に制限を設けていない。ポッドキャスト番組『Flying Coach』に出演した際に、カーは「昔気質のコーチが携帯電話の使用を禁じるのは現実的ではない」と語った。

とはいえ、試合に向けて意識を高めなければいけない時にスマホを使われていたら、ヘッドコーチとしては困ってしまう。そこでカーは、ジョークを使って選手の気持ちをつかんでいるという。

「選手たちにも心の余裕やゆとりを与えないといけない。だから私はちょっとしたユーモアを使っている。選手たちがスマホに夢中なのは知っているから、ロッカーに入って『今からゲームだ。ツイートは最後にしておけ』みたいなことを言う。スマホに気を取られてバツが悪かったり、うしろめたい気持ちがある選手はそこで気がつく。『そうか、試合の時間だ』とね。私は『スマホの使用は試合開始2時間前まで』みたいなルールを作るタイプではない。それに、そんなやり方は上手くいかない」

同じ番組にゲスト出演していたクリッパーズ指揮官のドック・リバースも、罰則を設けずに選手の気持ちを巧みに試合に誘導するタイプだ。

「今の選手たちは、ハーフタイム中にスマホでスタッツを確認している。私はロッカールームにスタッツシートを用意しないしね。それか、家族や代理人と電話で話しているよ。試合中に選手が外部と連絡を取れるんだから、素晴らしい時代だよ」

「試合35分前になっても大半の選手がスマホをいじっている。ちょっとした皮肉は、我々の仕事には欠かせないものさ。面白おかしく表現できれば、それに越したことはない。友人や家族、恋人にメッセージを送っている選手に近づいて、『彼女によろしくと伝えてくれ』と言えば、みんなが笑ってスマホをしまう。私の言いたかったことが伝わるというわけさ」

流石に名将と呼ばれる2人は、シャレがきいている。2人の巧みな話術で選手たちが笑顔になる姿が想像できるエピソードだ。