篠山竜青×青木保憲×林翔太郎 川崎ブレイブサンダースの主将がルーキーへ伝える『プロバスケ選手の心得』(前編)

2018/02/28
Bリーグ&国内
2031

文・写真=鈴木栄一

春は出会いと別れの季節。プロバスケットボール界はシーズン真っ只中であるが、主に大学4年生がインカレ終了後、特別指定選手という形でチームに加入している。そこで今回は、感動から笑いまで幅広いトーク術でリーグ随一のファンサービス力を誇る『神対応』でお馴染みの篠山竜青が、川崎ブレイブサンダースに新たに加入した大学4年生コンビの青木保憲、林翔太郎に向け、Bリーガーとして、そして川崎ブレイブサンダースの一員としての心得を説いた。

篠山キャプテンと、新加入の『リンヤス』コンビ

──篠山選手、まずは特別指定制度で加入した2人を紹介してください。

篠山 川崎に新人が入るのは野本(建吾)と谷口(光貴)、(晴山)ケビン(京都ハンナリーズ)以来となりますので、久しぶりのピチピチ大卒ルーキーです!

──あの、小澤智将選手は……。

篠山 あっ、小澤がいましたね(汗)。ただ、彼は特別指定で他のチームを挟んでいるので、どこのチームにも所属せずに入ったのは久しぶりということで。『リンヤス』コンビでお馴染みの2人です。僕は一度もそう呼んだことはないですけど(笑)。

──青木選手、林選手は川崎についてどういうイメージを持っていましたか?

青木 東芝時代からずっと伝統のあるチームで、NBLのチャンピオンになったり、Bリーグのファイナルまで行くなど、日本のリーグの中でもトップチームと見ていました。

自分もNBL時代から、川崎はずっと強いイメージです。そして自分が小中学生の頃に高校や大学で活躍していた選手がいっぱいいて、伝統があるチームだと思います。

──では、実際に練習参加してみて感じた驚きはありますか?

大学時代はそんなにセットプレーをする感じではなかったんですが、川崎に入って選手一人ひとりが考えてプレーしている。セットプレーが多くて、そこからしっかり覚えていかなければいけない。また、ディフェンスの重要性を練習を通してあらためて感じました。

青木 僕はシステム的な部分では大学と変わらないというか似ていると感じました。その部分では入りやすかったですが、型にはまらずに一人ひとりがそれぞれ考えた上でチームプレーを作る。一つの動き、一つの判断にしてもシュートを打つ、守るまでの過程がすごく精度が高いです。また、練習の前の準備などでも本当に一人ひとり考えて準備されていて、大学とは全然質が違うなと思いました。

──青木選手、同じポイントガードの篠山選手のことをどう見ていて、実際にチームメートになって印象が変わったことはありましたか?

青木 外から見ていた時はガチガチに真面目な方なのかなと思っていました。それがいざチームに合流して試合に帯同すると、面白いユーモアのある方で、自分の抱いていたイメージとはすごくギャップがありました。僕が言うのも恐縮ですが親しみやすい人で、かつバスケットボールに対する熱量が本当に高い方です。

──では、どういうところをポイントガードとして盗んでいきたいですか?

青木 練習や試合で一番思ったのが、竜青さんが練習にいるかいないかでチームの雰囲気が違うなと。一番運動量も多くて声も出しているので、そういった気持ちの面を見習って、自分でもやらなきゃいけないと思います。

篠山「新人らしく一番声を出して明るくしていた」

──篠山選手は、ルーキー時代にどういう思い出がありますか?

篠山 僕がこのチームに入るきっかけとなった選手が一つ上の栗原さんです。日本大学の時から一緒にやっていてすごく尊敬できる人で、この人の背中を見てやっていけば成長できるなという感覚を大学生の頃につかんだので、ブレイブサンダースから声をかけていただいて入りました。

その時にポイントガードとして、「誰を見とけばいいですか」と栗原さんに相談したら、佐藤賢次さんだと。賢次さんを栗原さんが尊敬していて、あの人の取り組み方や姿勢を見て勉強していると話を聞いていました。尊敬している人の尊敬している人は間違いない、賢次さんを見ていろんなことを覚えていこうと思いました。

蓋を開けてみれば入れ違いでコーチになってしまったのですが、でも1年目からポイントガードとしていろんなことを賢次さんから吸収できました。選手として賢次さんの背中を追いかけることはできなかったですが、立場は変われど自分が1年目で、川崎は大学の頃に比べてセットプレーも多かったので戸惑うことも多い中で、賢次さんに支えてもらいました。賢次さんと一緒にプレーしたかった思いもありますが、コーチとしてサポートしていただいて良かったというのが1年目の思い出としてあります。

また、僕が入った時はあまり練習とかもバカになる人がいないというか、どちらかというと大人しく淡々という雰囲気のチームだったので。それをまず変えようと思って、僕が新人らしく、一番声を出して明るくしたいというところで入りました。

──では、1年目の東芝の社員としての思い出はありますか?

篠山 研修があり、それはスポーツだろうが学卒だろうが院卒だろうがドクターだろうが全員で研修を受けます。やっぱり今まで自分がかかわってこなかった全く別の世界の人と一緒に東芝のことを学んでいく経験は思い出深いし、今でも印象に残っています。

「年々自分から行きづらくなっています」

──篠山選手、プロバスケットボール選手として、青木選手、林選手にはどういうところを押さえておいて欲しいですか。そして島根でのアウェー戦でのファンとの触れ合いのように、神対応をするにはどういう心構えが必要でしょうか。

篠山 変なことをつぶやかないこと。SNSの発言には気をつけましょう(笑)。そして予想以上に見られている、予想以上にヒーローになっていることを自覚することだと思います。

──ファンとの触れ合いを見て、あの時はどんな印象を持ちましたか?

前から川崎のツイッターで、竜青さんの登場する動画も見ていました。あのような人柄があって、竜青さんだからできることなのかなと思いました。

──篠山選手、キャリアをある程度重ねてきたことで、新人選手に対するアプローチが変化してきたと感じるところはありますか?

篠山 僕が入った時、今の自分の年齢である29歳とか30歳くらいの選手たちは、すごくおじさんに見えたんです。その時の先輩方は、結婚して子供がいて、車を持っている。保険の難しい話をしているとか、考えられないという思いがありましたね。今は、自分がそう見られてるんだろうな、みたいな。今、自分が世代が違うって思われる側になったと、年々自分から行きづらくなってはいます。

──若手時代には声を出してムードメーカーになることを意識したと言っていました。取材で接する今の川崎の若手はみんなフレンドリーではありますが、結構おとなしい印象です。

篠山 確かにみんなおとなしいですね。2人には、この部分でもかなり期待していす。林とはまあ、一緒にご飯にも行けてないので、そういう部分で距離を縮めていけばもう少しキャラが出てくると思います。青木は結構出せてきているので。久しぶりに「やれ」と言ったことはやる新人が入ってきたなというか。そういう意味ではすごくこれから期待です。チーム内を明るくするという意味で、ムードメーカーになれるんじゃないかなと思います。青木は人のモノマネが得意で、僕も得意なので、そこはちょっと対抗心があります。

──もう鉄板はできていますか?

青木 そうですね。数人は。

篠山 とどろきアリーナでのホームゲームで入場する前、選手が待機するスペースがあるんですけど、そこでモノマネを連発して結構ドッカン言わせていたので、そこでみんなのハートをつかんだと思います。

──青木選手、ムードメーカー的な役割は昔からですか。

青木 チームの中では声を出すキャラククターや役割をずっとやってきました。先輩の無茶振りも応えるようには今までもある程度はしてきたので。それが今になっても続いています。

篠山 だからと言って、青木が根っから明るい性格でとにかく元気だとは思わないです。僕もそうだったんですけど、自分の役割を俯瞰で見た時に、分かってバカになれるかどうかが、とても大事だと思うんです。それができるのが青木です。相当疲れるとは思いますけど、僕もそういうところがありましたし……。

──本来の性格とは違うということで、篠山選手も最初の2~3年は部屋に帰ってため息をつくこともありましたか?

篠山 はい。そんなのは、めちゃくちゃありましたよ。過去の雑誌記事にも出ていると思います。別に僕も根から明るいわけではなく、でもチームの中で明るくするには俺がアホにならないといけないと。それを理解して、腹をくくってやってる部分はあります。

──ということは、今までその役割を担ってきたのは結構長かったですね。

篠山 そうです。長かったです。野本あたりがちょっとずつ頑張ってくれるようになってきてくれましたけどね。

──林選手はどんなキャラクターですか?

篠山 まだ、つかめきれていないです。小澤にもいろいろ聞いてるんですけどね。ウチの癖のある若手は言うこと聞かないんですが(笑)、そういうのはないと聞いています。ただ、これだと昔の体育会系みたいでちょっと嫌ですね(笑)。

篠山竜青×青木保憲×林翔太郎
川崎ブレイブサンダースの主将がルーキーへ伝える『プロバスケ選手の心得』(後編)