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今夏のレブロン争奪戦に事実上の名乗り

現在のNBAで優勝するチームを作るには、リーグが定めるチーム総年俸額(サラリーキャップ)を上回るだけの選手を集めてロスターを編成するのが通説になっている。つまり、チームオーナーは勝つために高額のラグジュアリータックスを支払っている、ということだ。

昨年10月にロケッツの新オーナーとしてNBAが承認したティルマン・フェルティッタは、チームが優勝する可能性があるのなら、このラグジュアリータックスを支払う覚悟があると『USA Today』に語った。

フェルティッタは「NBAは最もタフなビジネスだ」と話す。「大金を得られることもあれば、大金を失う場合もある。それらの違いは一瞬で決まる。私はロケッツを買うのに22億ドル(約2340億円)も払ったんだ。8000万ドル(約85億円)の買い物ではない。来シーズンに優勝できる可能性が高いと思える選択肢があるのなら、ラグジュアリータックスを支払っても構わない。今のチームにはラグジュアリータックスが科されていないが、それでも今シーズンだって優勝する可能性はある」

今最も勢いに乗るロケッツは、10連勝でついに王者ウォリアーズを抜き、西カンファレンス首位に立ってオールスターブレイクを迎えた。このままジェームズ・ハーデンとクリス・ポールが好調を保つことができれば、ウォリアーズとNBAファイナル進出を懸け、西カンファレンス決勝で激突する可能性が高い。

ただ、フェルティッタはビジネスの世界で成功した人物だ。レストランチェーンとカジノを擁し、M&Aで規模を拡大し続けてきた彼は先を見据える目に長けているだけに、下馬評ではウォリアーズが有利なことを理解していて、その先を見据えて先の発言をしているのだろう。

もし今シーズンもウォリアーズの前に敗れる結果となれば、彼はどうするだろうか? NBAに参入したばかりで優勝をあきらめはしないだろうし、今のロケッツを解体しての再スタートを選ぶこともしないはず。採るべき道は、今のチームを維持したまま『勝てるピース』を補強することだ。それは今夏フリーエージェントになるレブロン・ジェームズに他ならない。

ジェームズ・ハーデンとクリス・ポールを擁するチームにレブロン・ジェームズが加われば、これまでの『ビッグ3』を上回る。ウォリアーズと並ぶ、そしてその上を行く『スーパーチーム』を作れるだけの資金を注入する意思があることをオーナーが自ら宣言した以上、NBA史上最高額の年俸を手にするであろうレブロン獲得競争にロケッツも名乗りを挙げたと考えていい。