文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「みなさんに気持ち良い思いをさせれて良かった」

横浜ビー・コルセアーズは先週末の島根スサノオマジック戦に連勝し、今シーズン初めてホームコートでの連勝を果たした。1月27日、28日に行われた名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦では2試合続けて1点差で敗れたこともあり、ホームのファンにとっては待望の連勝だった。

川村卓也もホームでの連勝について「いつ以来か分からない、僕も記憶にないくらいなので」と前置きし、「皆さんに気持ち良い思いをさせれて良かった」と語った。

横浜は現在11勝25敗でリーグ16位と苦戦が続いている。チームの強さと観客の数は少なからず相関関係があるが、横浜はリーグ6位となる平均3000人を超えるファンを獲得している。

「僕らのブースターというのはどんな負け方をしても、どんなにひどいゲームをしてもいつも後押しをしてくれてます。そこに甘えちゃいけないんですけど、皆さんのこのチームに対する思いを強く感じていますし、その皆さんに良い思いをさせるっていうのは結果しかないので、今日は結果に出せてホッとしました」と安堵の表情を浮かべた。

「僕をシックスマンにしたり試行錯誤があった」

川村は直近の10試合のうち8試合で2桁得点を記録し、そのうち半分の4試合は20点を超えるパフォーマンスを見せるなど、好調が続いている。

「僕をシックスマンにしたりいろんな試行錯誤があった中で、僕には点数に絡んでほしいということをチームが主張してくれるようになりました」と、得点という分かりやすい役割を任されることでパフォーマンスが上がっていると感じている。

川村の個人的なパフォーマンスがチームに勢いを与えていることは間違いない。だが島根との第2戦では川村が9得点だったにもかかわらず、チームは80点を奪い勝利を手にした。それはチームとしての力がついてきたことを意味し、川村も手応えを口にした。「僕が1桁の点数でも他の選手が2桁取って80点に乗るっていうのは、チームとしてみんなでカバーし合える意識とパフォーマンスが両方身に着いてきたのかなと思わせてくれるチーム状況です」

自身の得点が勝利に直結することは選手にとって一番気持ちがいい瞬間だが、「チームが勝てればどうでもいい」と川村は勝ちかたにこだわらない。「得点力不足をみんなで補うことができ始めているのかな」とチームの底上げを実感し、そこに喜びを見いだしている。

「自分たちが弱いということを認識させてくれます」

横浜はシーズン途中にアドバイザーとしてトーマス・ウィスマンを招いた。川村もそれが一つの上昇のきっかけだと証言する。「アドバイザーでトムが入ってきてくれて、大きく変えたことはないんですけど、練習量も増えたし、自分たちが弱いということを普段から認識させてくれます。それをしっかり頭において練習からプレーしているからこそ、一つひとつのシュートの成功で自信を持ってプレーできるようになっていると思います」

また、現在5試合連続で2桁得点を記録している満田丈太郎のステップアップを川村は強調した。「ジョーは2、3カ月前まではアウトサイドシュートは全く入らないと言われてました。ペネトレイトだけを警戒されてた選手がこれだけの短期間で成長できるというのは、若いからこそという部分と研究されていない部分もありますが、あいつの成長はこのチームのカギになると僕も思っています」

満田は大事な場面でシュートを沈め、相手がタイムアウトを要求せざるを得ない状況を作った。そして川村はそんな満田に駆け寄り、互いにジャンプをして胸を突き合わせ喜びを分かち合った。ただこのようなシーンは特別ではなく、最近の横浜に多く見られる光景だ。それだけチームメートと良い関係が構築されているということで、川村も「ああいうのが自然と出るような良い雰囲気だっていうのを感じ取ってもらえたらうれしいです」と話した。

NBAみたいにハンドシェイクをあえて考えてやってるわけじゃなくて、良いシュートや良いプレーが出た後にエナジーが出た上で出てるので、チームとしては良い雰囲気です」

ホームのファンの前で連勝を果たし最高の週末となったが、依然下位にいることは変わらない。それでもチーム力の上昇と自身の好調がマッチし続ければ、周りのチームにとっても横浜は怖い存在になるだろう。

余談だがジャンプをし互いに胸を突き合わせるパフォーマンスの名称は決まっておらず、「名前を集めてください」と川村も言っていたので、我こそはと思う人はSNS等で候補を送ってみてはいかがだろうか