低迷するマーベリックスが名門や強豪を上回りホーム観客動員数No.1の『謎』

2018/02/05
NBA&海外
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写真=Getty Images

キューバンのオーナー就任で生まれ変わったチーム

間もなくオールスターブレークを迎える今シーズンのNBAにおいて、『不思議な現象』が起こっている。なんと、17勝36敗で西カンファレンス14位のマーベリックスが、今シーズンのホームゲーム観客動員数でリーグトップの数字を記録しているのだ。

『ESPN』の調べでは、マブスは今シーズンのホームゲーム28試合が終了した時点で合計55万2758人の観客動員数を記録。2位はキャバリアーズ(53万4612人)、3位はセルティックス(52万1472人)、4位はブルズ(51万5832人)、5位はスパーズ(51万4797人)の順で、今や世界中にファンを持つウォリアーズは8位(48万9900人)という数字が出ている。

ちなみに、マブス本拠地アメリカン・エアラインズ・センターの収容人数は2万人で、ウォリアーズ本拠地オラクル・アリーナの収容人数は1万9596人と発表されているため、その差は400人足らず。レイカーズは今シーズンのホームゲーム26試合を終えた時点で7位の49万1372人の観客動員数を記録しているのだが、本拠地ステイプルズ・センターの収容人数は、アメリカン・エアラインズ・センター、オラクル・アリーナよりも多い2万1000人だ。

一般的に考えれば、観客動員数は球団の人気、歴史に比例して増える傾向にある。キャブズはNBAの顔レブロン・ジェームズによる地元人気が高いチームの代表格。セルティックスはNBA史上最多17回の優勝を誇る名門な上に、今シーズンはカイリー・アービングが移籍し、若手中心ながら東の首位を快走している。ブルズも2度のスリーピート(3連覇)をもたらしたマイケル・ジョーダン時代からの根強いファンが多い球団。スパーズも優勝5回を誇り、地元テキサスでの人気は定着している。

マブスはどうかと言うと、創設されたのは1980年でセルティックスやレイカーズといった名門に比べれば歴史が浅い。優勝経験も2011年の1度だけ。それでも並み居る名門や強豪より多くの観客動員を記録している。

これは2000年に球団を買収して筆頭オーナーになった実業家、マーク・キューバンの手腕によるものだ。IT業界で巨万の富を得たキューバンは、チームオーナーに就任後、コアなファンだけではなく、そこまでバスケットボールに関心が高くないカジュアルなファンにも会場に足を運んでもらうため、当時は今ほどNBAに浸透していなかったエンターテイメント性の高い演出を採用し、会場内のアメニティを充実させた。また、セレブの来場を増やす工夫を凝らした。

マブスのホームゲーム観客動員数は、キューバンがオーナーに就任してから1年後の2001-02シーズンに80万人を突破。それからは、NBAがロックアウトを断行した2012年を除き、ホームゲームの年間観客動員数が80万人を下回ったシーズンはない。

今シーズンに関しては、ダーク・ノビツキーの去就も観客動員を押し上げる要因となっている。ノビツキーは昨夏マブスと2年契約に合意したが、来シーズンはチームがオプションを保持している。今年40歳になるノビツキーは先発出場を続けられるコンディションを維持し、平均12.0得点を記録するなど衰えは見られない。だが、この夏に現役引退を決断する可能性も否定できない。チーム一筋20年のレジェンドの雄姿を目に焼き付けておきたい、と考えるファンは多いはずだ。

プロスポーツの興業は、結果が伴わないシーズンこそ真価が問われる。『ダラスのチームはマブス』という意識が地元の人々に浸透しているからこそ、これだけの動員数を記録できている。キューバンはいつもコート最前列に陣取り、ファンの一人としてチームを応援するとともに相手チームの選手を挑発する姿が目立つ。それでも球団、選手、ファン、地元にとっては最高のオーナーだ。観客動員数で伸び悩むチームのお手本がダラスにはある。