文・写真=鈴木栄一

西地区上位対決はリードする琉球、追う京都の展開に

2月3日、琉球ゴールデンキングスがホームの沖縄市体育館で京都ハンナリーズと対戦。第4クォーターに25-13と突き放すなど、試合を通して持ち味の堅守が崩れなかった琉球が79-60で快勝。これで西地区首位の琉球は、地区2位である京都とのゲーム差を8に広げている。

第1クォーター、琉球は残り1分半まで京都をわずか6失点に抑えて10点のリードを奪うが、終盤に京都は片岡大晴、内海慎吾の両ベテランがシュートを沈め琉球の16-11で終了。第2クォーター、再び琉球はアイラ・ブラウンの3ポイントシュートに津山尚大の速攻などで、残り約4分に27-17と再び突き放しにかかる。だが、京都はこのクォーターだけでジュリアン・マブンガが11得点と奮闘したのが光り、前半は琉球の35-31と僅差のままで試合を折り返す。

第3クォーター、このクォーターで7得点を稼いだ岡田優介の活躍などもあり、京都は残り約6分に40-40と追いつくなど、流れを引き寄せる。だが、この数分後、主力の一人である永吉佑也が脚を痛めて無念の負傷退場。これで生まれた日本人4番のミスマッチを琉球は的確に突いた。

「相手の特徴を潰していって、自信をなくさせる」

第4クォーター、「1本目、片岡が良い形で3ポイントシュートを打ちましたが入らず、その後で古川(孝敏)君に逆に3ポイントシュートをやられて10点差になってしまった。ここで相手に勢いをつけられてしまいました」と浜口炎ヘッドコーチが振り返ったように、反撃のきっかけをつかみたい京都に対し、琉球は古川がビッグショットを決め再び点差を2桁とする。

この一撃で乗った琉球は、ここから怒濤の連続得点。第4クォーター残り5分の時点で70-50と一気に突き放すと、あとは余裕の展開で12月20日に今回と同じ沖縄市体育館で終了間際に勝ち越されて敗れた相手へのリベンジを達成した。

琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、「オフェンスでノーマークのシュートを外しながら硬くならなかったのは、ディフェンスで守れるという感覚があった。そこが今日は最大の勝因というところです。チームとして向こうにやらしてはいけないパターンを抑えようと集中してくれました」と、60失点に抑えた守備が快勝を導いたとコメント。そして「ウチの今の勝ち方は相手の特徴を潰していって、向こうに自信をなくさせていくこと」と続けた。

また、「炎さんは乗っている選手を使うのがうまいです。第2クォーターでマブンガ、第3クォーターで岡田が乗ってきた時に、いかに流れを断てるかが大事な作業で、そこでのダメージを最小限に留められたのが良かったです」と、波に乗りかけた選手にすぐに対応できたことも大きかったと語る。

指揮官が強調した、ベンチメンバーの貢献

守備とともにもう一つ、佐々ヘッドコーチが強調したのは、しっかり我慢できたこと。これは琉球の試合前に行われたレバンガ北海道の戦い見て、その思いをより強くしたようだ。

「上位陣との戦いになると、相手をどう上回るかというより、どちらが先に崩れてしまうかの戦い。我慢比べになってきます。今日、北海道が東京を破った試合はまさにそんな一戦で、北海道は我慢して最後まで自分たちのバスケットをやっていました。試合前に見て、僕の中で良い影響を受けました」

琉球はブラウン、岸本隆一、ハッサン・マーティン、古川が2桁得点を挙げるなど、主力がしっかり数字を残した。だが、指揮官はチームとしてしっかりプレーできたことを勝因に挙げたように、スタッツは残さずともベンチメンバーの貢献が大きいと強調する。

「石崎(巧)は僕の意図をよく理解しており、どこを狙わないといけないのか、自然体で出してくれます。また、今日はニノ(二ノ宮康平)を本当に褒めたいです。0点ですが、ちゃんとつないでくれました。(同じ司令塔の)岸本が点数を取っている中、自分が生きる道はどこなのか試行錯誤していると思いますが、ゲームプランをしっかり遂行しながら、コントロールをしてくれました。また須田(侑太郎)も、途中出場から岡田を抑えてくれました。スタッツに出ないところにおけるベンチメンバーの活躍も大きかったです」

一方、浜口ヘッドコーチは「本来ウチはペイント内の得点が多いチームですが、そこで得点をなかなか取れなかったのはもったいない部分」と、ペイント内の得点が12に終わったことについて試合の総括で言及。

永吉の出場が厳しいと見られる中、ファウルアウトで退場するなど7得点と消化不良に終わったジョシュア・スミスが、ゴール下でどれだけ存在感を発揮できるかが連敗阻止のカギとなる。