
「CSの話はもうしていません」
『FIBAワールドカップ2027予選』のために中断期間に入っていたB1のレギュラーシーズンは、まもなく再開を迎える。越谷アルファーズは全体20位(19勝41敗)に終わった昨シーズンを踏まえ、今オフにロスターの大半を入れ替えた。ここまで15勝24敗(東地区9位)と黒星が先行しているが、心機一転したチームとしては大崩れなく戦っている。ワイルドカード争いをしている上位グループとの差も約10ゲームと、昨シーズンに比べれば健闘していると言っても良いだろう。しかし、指揮を執る安齋竜三ヘッドコーチの認識は違った。
「もともとの目標はチャンピオンシップ出場だったので、そこからかけ離れてしまった現状は正直、僕的にはあまり受け入れられるものではないです」
その言葉には落胆の色がにじんでいたが、指揮官はマインドを切り替えている。「CS(チャンピオンシップ)の話はもうしていません。自分たちが理想とするチーム、良い組織になっていくことを日々目指さないといけません。せっかくB1で戦えている機会を良い形で終えられなかったら、落ちていくのは早いという危機感はめちゃくちゃあるので、それをさせないのが僕の責任です」
数字上、チャンピオンシップ進出の可能性はまだ残されているが、安齋ヘッドコーチはそれは現実的ではないと言い切る。来シーズンからのリーグ再編によって降格の危機もない状況下で、どこにモチベーションを持ち出して戦うべきなのか。
安齋ヘッドコーチはこのように考えている。「未来のアルファーズに繋がるように、最後の21試合をどうやって歩むのかにフォーカスしています。試合が良ければ会社もまわりのファンやスポンサーさんも良くなるのは経験で分かっているので、まずは良いゲームを作ることが第一優先です」

「さらにプラスアルファで上げていかなければならない」
越谷は来シーズンより2部に相当する『BリーグONE』を戦場とすることが決まっているため、トップリーグでプレーできるのは残り21試合と限られている。そして、ここで得られる経験値はトップリーグとなる『Bリーグプレミア』参入を目指す今後の越谷にとって大切だと安齋ヘッドコーチは言う。越谷がどのようなチームになるのか、カラーを見出し、チームのカルチャーを作っていくことがBプレミア参入に向けての至上命題となる。
「チームがB1でやれていることがクラブの力を上げていると思うので、その強度を(B.ONE所属となる)来シーズン以降も保ち、さらにプラスアルファで上げていかなければならないです。Bプレミアに参戦するという目標到達のためにも、(残りの試合は)かなり重要だと位置付けています」
さらに安齋ヘッドコーチはこのように続ける。「文化を作ることは難しく、1年でできることではないです。去年から繋げて、今年はもっと勝っていく予定でしたが、僕の責任でこういうことを起こしてしまった。リセットしてやり直さなければならなくなった2年分を取り戻すことが今の僕の仕事です」
安齋ヘッドコーチは昨年の7月、パワーハラスメント事案とそれによるコンプライアンス違反処分を受け、3カ月のバスケットボール関連活動停止となった。「こういうこと」とは、開幕前の重要な時期と開幕からの数週間にわたってチーム活動に関われなかったことを指す。
指揮官不在でスタートしたチームは開幕から4連敗を喫したが、安齋ヘッドコーチが復職してからは勝率を6割近くまで引き上げた。チームの得点源であるセクー・ドゥムブヤをケガで欠いた年末以降も、東地区首位のレバンガ北海道など、上位チームを倒し着実に白星を積み重ねている。さらに、直近で敗戦した3試合の得点差はいずれも一桁。彼の考える新たなチームカルチャーが浸透してきた結果と言って良いだろう。
カルチャー構築の難しさを語りながらも、我々の予想を上回るスピードでチームをトップリーグで戦える集団に作り上げている安齋ヘッドコーチ。彼が言うように、残りの試合はただの消化試合ではなく、越谷の未来を左右する最も大事な21試合となるかもしれない。