文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

試合終盤、得意のトランジションで突き放す

横浜ビー・コルセアーズと栃木ブレックスの月曜ナイトゲーム。第3クォーターを終えて2点差の接戦となったが、最終クォーターでディフェンスのギアを上げトランジションから得点を積み上げた栃木が突き放し、前日に引き続き連勝を収めた。

16-14と栃木がリードして迎えた第2クォーター序盤、栃木にアクシデントが起きる。ハシーム・サビート・マンカの肘が顔に入り、マークについていたライアン・ロシターが鼻から出血し一度コートを去った。このプレーが危険なプレーとみなされサビートはアンスポーツマンライクファウルを取られる。直後、サビートはムービングスクリーンをコールされ、早くも3ファウルに達しベンチへ退いた。

横浜にとって有利なオンザコート「2」の時間帯だったが、サビートが下がったことでその利を生かすことができない。ここを栃木は竹内公輔とセドリック・ボーズマンが突き、43-35とリードを広げ前半を終えた。

それでも第3クォーター終盤に横浜が粘りを見せる。残り1分47秒、9点ビハインドの場面で川村卓也がシュートファウルを誘発。さらにこのプレーに抗議した渡邉裕規がテクニカルファウルを取られた。川村は3本のフリースローをすべて沈め、さらにテクニカルファウルで得たポゼッションでも難しいフェイダウェイシュートを決めて一気に5点を獲得。終盤には細谷将司がロング2ポイントをブザーと同時に決めて、57-59と2点差まで詰め寄って最終クォーターを迎えた。

ホームの横浜がこのまま流れに乗るかと思われたが、この逆襲が栃木の選手に火をつけた。ディフェンスの強度を上げた栃木はボールマンへのプレッシャーを強め、横浜のオフェンスを停滞させた。ここから得意のトランジションを繰り出し、テンポの良い攻撃を次々と仕掛けていく。

横浜の得点をサビートの10得点のみに封じたのに対し、出場した8人が全員得点を挙げるなど、バランスの良いオフェンスを展開した栃木が、このクォーターを27-10と圧倒し、最終スコア86-67で勝利した。

勝負の第4クォーター「自覚を持ってやってくれた」

安齋竜三ヘッドコーチは「2勝して終われたというのは良かったと思います。特に今日の第4クォーターは選手もしっかり自覚を持ってやってくれた」と試合を振り返る。

勝負を決めた第4クォーターについては、作戦云々ではなく選手の意識の差だと説明。そして27点というスコアは栃木の目指すスタイルを体現した結果となった。「ディフェンスからのトランジションの流れでかなり点を取っているのが一番です」。

昨日の第1戦で復帰を果たした渡邉は無得点に終わり、「得点もそうですけど、自分が出てる時間帯に良い流れを作れなかった」と反省。それでも「2戦やってみて身体が動かないことはないなって思いました」とブランクによる影響は少なそうだ。

「エネルギーが切れてしまった」

敗れた横浜の尺野将太アソシエイトコーチは「オンザコート『2』の第2クォーターで、有利な時間帯にアドバンテージを取ることができなくて、そのあたりから僕の采配も後手後手になってしまい、自分の未熟さだったりゲームの流れをうまくとらえきれなかった」と第2クォーターで主導権をにぎれなかったことを悔やむ。

「第4クォーター、最後の最後のところでうちのエネルギーが切れてしまった。まずインサイドでビッグマンにやられてしまい、そこの修正をしたら、今度はシューター陣にやられてしまった。これが今のウチの力だと思います」と終盤にガス欠を起こしたタイムシェアの反省も含め、力負けを認めた。

それでも「第3クォーターまでを乗り切ることができたというのは、先週までと違って大きな一歩」と、集中力を切らさずに終盤までクロスゲームに持ち込んだことは評価した。

細谷も終盤の戦い方を悔いた。「4クォーターの出だしで僕自身悪い意味でのコントロールをしてしまった。連続で決められてしまい、そこを締めるのもポイントガードですし、その部分でコミュニケーションが足りない」

栃木はここ10試合で7勝3敗と調子を上げている。横浜はこれで6連敗。まだレギュラーシーズンの3分の1が終了したところだが、是が非でも残留プレーオフは避けたいはずだ。どこかで浮上のきっかけをつかみたい。