文=鈴木健一郎

東京オリンピックに続く『長く険しい道』

ワールドカップ予選は今日が開幕。日本代表はホームの駒沢体育館でフィリピンと対戦する。もっとも、『東京オリンピックへ続く道』とは言ってもまだ3年先の話。そこまでにクリアしなければならない課題は多い。

バスケットボールではオリンピックの『開催国枠』が保証されていない。参加国が12と少ないため、それに見合ったレベルにないと見なされればFIBA(国際バスケットボール連盟)の判断で開催国枠は消滅し、日本は大会から弾き出されることになる。そうならないために日本に求められているのが『ワールドカップでのベスト16入り』だ。ワールドカップはオリンピックの前年、2019年に中国で開催される。32チームが参加するこの大会で、グループリーグを突破すればベスト16。日本はここを目指して、今日その第一歩を踏み出す。

今日から始まる1次予選は、フィリピン、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイとグループBに入った。以下の日程でホーム&アウェーの6試合を行い、3位チームまでが2次予選に進む。

11月24日 vsフィリピン(ホーム/駒沢体育館)
11月27日 vsオーストラリア(アウェー)
 2月22日 vsチャイニーズ・タイペイ(ホーム/横浜国際プール)
 2月25日 vsフィリピン(アウェー)
 6月29日 vsオーストラリア(ホーム/千葉ポートアリーナ)
 7月 2日 vsチャイニーズ・タイペイ(アウェー)

まずはここで最下位にならないことがノルマになるが、話はそう簡単ではない。日本は世界ランク50位で、オーストラリア(9位)、フィリピン(30位)、チャイニーズ・タイペイ(57位)という力関係。普通に考えればチャイニーズ・タイペイを上回って3位になればいいという計算だが、2次リーグのことも考える必要がある。

2次リーグには、イラン(FIBAランク22位)、カタール(66位)、カザフスタン(74位)、イラク(85位)のグループDから3チームが勝ち上がってくる。この3チームと2018年9月と11月、2019年2月にホーム&アウェーで対戦し、上位3チームに入るか、4位でも別グループ(グループAとCによる2次リーグ)の4位チームより成績上位であれば、アジアカップへの出場権が得られる。ただ、この成績は1次リーグと2次リーグを合わせた12試合の通算。つまり、1次リーグでチャイニーズ・タイペイには競り勝ったものの、オーストラリアとフィリピンに全敗し、2勝4敗なり1勝5敗で2次リーグに進んだのでは、その先が苦しいということだ。

だが、それだけに今日のフィリピン戦に勝つことができれば大きい。初戦を終えただけで1次リーグ突破が半ば見えたようなものとなる。最悪のシナリオとしては、来年7月の最終戦を「勝たなければ敗退」の状態で迎えること。チャイニーズ・タイペイのバスケ人気は日本を凌駕しており、アリーナは完全アウェーの雰囲気になる。この試合を前にカタを付けておくことが重要だ。そのためにもフィリピン相手に1勝が欲しいし、それが可能となるのはホームアドバンテージのある今日の試合になるだろう。

フィリピン相手に1勝を奪う、チャイニーズ・タイペイに2勝する。あるいはその両方を成し遂げて3勝3敗で1次リーグを終えられれば、余裕を持って2次リーグに取り組むことができる。

『捕らぬ狸の皮算用』ではあるが、そのように1次リーグと2次リーグで勝ち星を積み重ねつつ、チームとしての実力も高めていく必要がある。2019年のワールドカップに出場したとしても、グループリーグを勝ち抜くとなれば、また相当に困難な道になるのは間違いないからだ。

それでも、このミッションを達成した時には、男子日本バスケは現在のFIBAランク50位から、10位台へと躍進しているに違いない。『日本のバスケ』も確たる形が見えているはずだ。

2020年の東京オリンピックは大いに楽しみだが、そこに日本代表が出場していないとなれば、NBAスタープレーヤー揃いのアメリカ代表を『一抹の寂しさ』を抱えながら観戦することになる。バスケ日本代表の挑戦を引き続き追い掛けたい。