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「自分中心ではなく、皆と一緒に取り組みたい」

ケビン・デュラントは、現代のNBAで最高の選手の一人だ。2014年にシーズンMVPを獲得し、2017年にはキャリア初優勝を遂げた。

2007年のドラフト全体2位でスーパーソニックス(現サンダー)から指名された時から、彼は『球団の顔』になるべき存在として期待された。選手として結果を残し、シーズンMVPまで受賞したとなれば、当然ながらリーダーシップを求められる。だが本人は、リーダーとして見られることを好まなかった。その後、ラッセル・ウェストブルックとの『2大エース』体制となった際も、周囲から「サンダーはデュラントのチーム」と見られることに違和感を覚えていた。

2016年にウォリアーズに移籍したデュラントは、すでにチーム内のリーダー、それぞれの役割が決まっている環境に身を置いたことで、気楽にバスケットボールにだけ集中する環境を手に入れた。

『GQ』のインタビューでデュラントは、ステフィン・カリーが『球団の顔』を担ってくれていることに「助けられている」と語った。「球団の顔はステフだ。そのおかげで、僕が球団の顔にならなくて済んでいる」とデュラントは胸の内を明かす。

「リーダーを演じなくて済む。僕はそういうタイプではないんだ。チームメートに『俺についてこい』と言うのが苦手だし、得意ではない。僕はどちらかと言うと、『よし、全員でやってやろうぜ!』という感じ。皆の前に立つのが嫌なわけじゃないけど、自分が中心ではなくて、皆と一緒に取り組みたい。それが自分が考えるリーダーシップ。例を示して引っ張るタイプかな」

もしサンダー時代に周囲がウェストブルックをリーダーとして見ていたら、デュラントの現在も違っていた可能性はある。ただ、リーダーとしてのカリーとウェストブルックは明らかにタイプが異なるだけに、最終的にはデュラントとの相性が重要だったのだろう。

注目を一身に背負うタイプではないと自己分析するデュラントにとっては、カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンらスター選手が集まるウォリアーズが、最適な居場所なのかもしれない。

世界最高の選手の一人であることを考えると、その姿勢はやや物足りないように感じてしまうが、それもキャリアにおける彼の選択。バスケに取り組む環境としてベストと考える環境を手に入れたことで、デュラントはまだまだプレーヤーとして上を目指すということだろう。