文・写真=鈴木栄一

富樫の活躍で先手を取った千葉がそのまま押し切る

11月11日、千葉ジェッツは本拠地の船橋アリーナでアルバルク東京と対戦。リーグ屈指の強豪対決として注目が集まる一戦は、第1クォーターから主導権を握った千葉がA東京を攻守で圧倒し、95-59と余裕の勝利を収めた。

第1クォーター、千葉は富樫勇樹が序盤から高確率でシュートを沈め、このクォーターだけで15得点を奪い、エースの活躍でリズムをつかんだ千葉が21-15と先手を取る。第2クォーターになると今度は富樫に代わって司令塔を務めた西村文男がこのクォーターで10得点。前半だけでポイントガードの2人が28得点を挙げた千葉は、守っても田中大貴を欠くA東京に楽な形でのシュートを打たせず46-29と大差をつける。

第3クォーター、なんとか巻き返しを図りたいA東京だったが、逆に千葉の勢いが加速する。引き続き激しいディフェンスで相手の攻めを止めると、そこから素早く攻めへと展開し確実に加点。このクォーターで71-37とさらに突き放し、最終クォーターを前に勝利を確定させた。

いつもは厳しい大野ヘッドコーチも絶賛の出来

千葉の大野篤史ヘッドコーチは「今シーズン一番良かったです。自分たちのやりたいディフェンスから良い形でオフェンスにつなげました。しっかりプレーのタイミングを合わせ、チームメートと協力することを40分間常にやれたゲームだったと思います」とコメント。

指揮官は95得点を挙げたオフェンスより、59失点に抑えた守備こそが最大の勝因と強調する。「相手の入れたいスポットにボールを入れさせないようにディレクションをする。そして、トラップに行くところで、選手がほぼ100%間違いなく、ミスコミュニケーションもなくディフェンスをやりきってくれた」と、普段は厳しいコメントが多い大野ヘッドコーチも満足する会心の出来だった。

また、20得点6アシスト、ターンオーバーなしの富樫、そして12得点6アシスト、ターンオーバー1の西村と、チームを見事に牽引した司令塔コンビについては「スタートのところで、勇樹の得点がチームにアグレッシブさを与えてくれました。また、彼が当たっていたことで少しボールが集まりすぎていたところで、第2クォーターに西村選手がボールを散らしてくれ、第1クォーター、第2クォーターと違うバスケットで得点を取れたのが大きかったです」と称えている。

屈辱の大敗に正中は「それを超えていきたい」

第1クォーター、得点量産で千葉が試合の主導権を握る立役者となった富樫は、「シュートが入る、入らないはその日の調子もあります。ただ、日本代表でルカ(パヴィチェヴィッチ)と一緒にやっていて、ディフェンスではガードに対してビックマンがあまり前に出て来ないのは分かっていました。試合前から打てるチャンスが多いと思っていた中でしっかり打てたことは良かったです」と、予定通りにシュートを狙った成果が出たと振り返る。

まさに文句のつけところがない圧勝だったが、富樫は「今日は何をやってもうまくいく。長いシーズンで数試合しかないうちの1試合でした。あれだけシュートが入って、ディフェンスが機能する試合はなかなかないので、今後に向けてそこまで参考にならないです」と冷静にとらえている。ただその一方で「今の時期、特にアルバルク相手にこういうプレーができたのは自信を持っていい」と、同地区首位を走るライバル相手を粉砕したことには手応えを得ている。

田中を欠くとはいえ、まさかの大敗を喫したA東京。正中岳城はこう語る。「良いところなく終わってしまいました。向こうにしっかり準備をされ、それを上回るプレーをしたかったですが、試合を通じてきっかけをつかめないまま終わってしまいました。どのチームもそうですが、向こうは僕たちのプレーを分かっていて、良いポジションでバスケをさせないというディフェンスをしてきました。そして相手のモチベーション、エネルギーを超えることができませんでした」と続けている。

「いろいろな課題を突き付けられたが、それを超えていきたい」と明日への意気込みを語ってくれた正中。A東京にとって明日のリターンマッチは、修正力が問われる『踏ん張りどころ』の試合となるのは間違いない。