髙田真希とのマッチアップは「最高ですね」
JX-ENEOSが7連覇を達成した皇后杯でMVPに輝いたのは渡嘉敷来夢だった。身長も身体能力もスキルも経験も、あらゆる面において女子バスケ界で規格外のタレントは、この大会でもその実力を発揮。今日行われた決勝では11得点10リバウンド3アシスト3ブロックショットを記録し、スタッツに残らない部分ではデンソーアイリスのエース、髙田真希を抑えた。
高校の先輩であり、日本代表の主力同士でもある髙田とのマッチアップは見応え十分。渡嘉敷自身も試合前から対戦を楽しみにすると同時に、ここが試合のカギになると気を引き締めていた。ファンからすれば楽しみなマッチアップだが、渡嘉敷も「最高ですね」と振り返る。
「何かしら来ると思うので、ドリブルを突いたら絶対にロールするし、ここで力強くドリブルで来るのも分かります。髙田選手がボールを持つと『さあ来い』って思っちゃいます。本当は来てほしくないんですけど(笑)。最初に目の前で打たれたフックシュートっぽいゴール下は『さすが』と思って、そこは結構ニヤッとしちゃう感じです」
今でも髙田は見習うべき先輩だと渡嘉敷は言う。「やっぱり余裕があるのと、今日も4分の2でしっかり3ポイントシュートを決めていて、そこは見習いたいです。2ポイントシュートの部分は抑えられたのですが、大事な場面で決めきる3ポイントシュートはアジアで戦うにも世界で戦うにも必要なので、自分も見習わないといけないと思います」
連覇をどれだけ伸ばしても満足しない姿勢
その髙田の3ポイントシュートもあって第1クォーターはデンソーの粘りが目立ったが、第2クォーターになるとJX-ENEOSが堅守から速い攻めへと転じることでリードを広げ、後半はそのまま一方的な展開へと持ち込んだ。この強さの理由を「ディフェンスですね」と渡嘉敷は説明する。
「我慢の時間帯は絶対にあるので、それをみんな一人ひとりが分かっています。あとは相手も疲れているタイミングでどれだけ走れるか、相手の隙をどれだけ突けるかだと思います」
渡嘉敷は突出した存在だが、常にチームプレーを意識しているのが強みでもある。スタメンの5人が出席した優勝会見でも自分のことではなく、ベンチスタートでこの会見にはいなかった林咲希の活躍をこう称えている。「交代で入ってくる選手も役割を理解しているのが強みで、例えば林だったらドリブルじゃなく、とりあえず打てと言われていて、それが最終日にすごく上手くいきました。日本代表に選ばれて自信になっている部分もあると思うので、彼女の成長は大きいです」
その林については吉田亜沙美も、今大会の良かった点として「自分からのパスで林が3ポイントシュートを決めてくれた時は一番テンションが上がりました」と言及している。こういうチーム内の結束がJX-ENEOSの強みなのだろう。
「MVPはびっくりですが、本当にみんなのおかげで取れたと思いますし、これに満足することなくもっと頑張りたい」と話す渡嘉敷は、連覇をどれだけ伸ばしても満足せず、努力を続けていく。だからこそ突出した存在でいられるし、それはこれからも続いていくに違いない。