デイビッド・スターン

バスケットボール人気の拡大に寄与

2020年1月1日、NBAの前コミッショナーを務めたデイビッド・スターンが逝去した。77歳だった。

1984年の2月1日に第4代コミッショナーに就任したスターンは、30年もの在任中に多くの変化をNBAにもたらした。サラリーキャップの導入、リーグの収益増加以外にも、NBA人気を世界中に広めたことも、彼の功績に含まれている。

スターンの在任中、NBAには新たに7チームが誕生。また彼は、NBA ディベロプメントリーグ(現Gリーグ)、WNBAの設立にも大きく尽力し、バスケットボール人気の拡大に努めた。ビジネスマンとしての才覚も去ることながら、彼は人格者としても評価された。

HIVにより1991-92シーズン前に現役引退を決断したマジック・ジョンソンは、同シーズンのオールスターゲームに先発出場する選手を決めるファン投票で最多票を獲得。コンディションに問題がなかったジョンソンのオールスターゲーム出場を認めたスターンは、当時は情報の少なかったHIV、AIDSに関する一般的な知識を世間に広める活動にも力を入れた。

2005-06シーズンからはドレスコードも導入し、アレン・アイバーソンらヒップホップファッションを愛する一部の選手による反発を招いたが、NBAのイメージ向上に努めた。

1999年と2011年には、選手会と各球団オーナーの労使交渉がまとまらず、ロックアウトによりシーズンが短縮される危機に直面したものの、スターンの手腕により、リーグはこれらの難局を乗り越えた。

スターンは、2014年にコミッショナーを退くと、同年にはバスケットボール殿堂入り、そして2016年にはFIBA殿堂入りも果たした。今では200を超える国と地域で、40以上の言語で試合が放送されているNBAは、世界トップクラスのスポーツコンテンツに成長した。グローバル化したNBAの礎を築いたスターンが遺したものは、あまりにも大きい。