文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

多嶋と伊藤のツーガードが機能、北海道が先手

昨日の第1戦では最終クォーターに失速、15点のリードを守り切れず81-84で逆転負けを喫した新潟アルビレックスBB。立ち上がりから気合いが入るも、先発で起用された多嶋朝飛と伊藤大司のツーガードにチャンスを作られ、試合開始から0-6のランを浴びて北海道の先行を許す。

北海道が外国籍選手オン・ザ・コート「1」の第1クォーター、オン「2」の新潟はアドバンテージがあったはずだが、目立ったのは北海道のスピード、コートバランスの良さ。新潟はエースのダバンテ・ガードナーにボールを集めるも徹底したダブルチームに苦しみ、第1クォーターで16-21とビハインドを背負った。

オン・ザ・コート数が入れ替わる第2クォーター、外国籍選手が揃って好調の北海道の優位が予想されたが、ここで五十嵐圭が奮起する。第1クォーターは攻撃をアレンジできず2ターンオーバーと全く振るわなかった五十嵐だが、ガードナーが休んでいる時間帯に自らアタック。ファウルを受けながら3ポイントシュートを沈める4点プレーで勢いに乗ると、このクォーターだけで16得点と大暴れ。

五十嵐はシュートが入り出すと、自らのアクションで相手を引き付けてフリーを作ってパスを出し、3アシストも記録。ガードナーをほとんどベンチに置いた10分間で新潟は27得点を挙げ、43-39と逆転して前半を折り返す。

ガードナーをダブルチームで封じ、速攻へ転じる

第3クォーターは均衡して57-55と新潟がわずかにリードを保つ展開。ここまではどちらかと言えば新潟のペースだったが、最終クォーターになると前日に引き続き北海道が攻守に完璧なプレーを見せる。

堅守速攻からの折茂武彦の3ポイントシュートなど、立ち上がりから9-0のランで64-57と一気に逆転。それでも秘策があるわけではなく、ディフェンスでは簡単にゴール下にボールを入れさせず、フリーを作らせない粘りの守備を継続。そしてオフェンスでは速い展開を徹底するなど、全員がチームバスケットを遂行した結果だ。

北海道は徹底してガードナーにダブルチームで対応。それでもガードナーはどんどん仕掛け、このクォーターで4本のシュートと4本のフリースローをすべて沈め12得点を記録するのだが、オープンになるはずの他の選手がシュートを打てない。特にインサイドにアタックする積極性を欠き、チェックの上から放つタフショットばかりを打たされた。

畠山俊樹の思い切りの良いスティールからオースティン・ダフォーの速攻につなぐプレーなど意地を見せ、オフィシャルタイムアウトの時点で65-68と1ポゼッション差まで追い上げた新潟だが、やはりバランスの悪さは否めず。ここから北海道は多嶋と伊藤のツーガードをコートに戻して勝負。その直後にグレゴリー・ウィッティントンがバスケット・カウント、完全なオープンを作っての3ポイントシュートを立て続けに決め、新潟の追い上げムードを断ち切った。

「自分たちの色を出し、勝ち方を見つけることができた」

こうなると完全に北海道のペース。終盤はスコア以上の差を感じさせる出来で、北海道が85-79で勝利している。

北海道は多嶋が20得点を記録し、ウィッティントンが16得点。ダニエル・ミラーとマーク・トラソリーニはガードナーへの守備を第一にプレーしながらもそれぞれ13得点、10得点とオフェンスでも結果を出した。北海道は多嶋が28分、ミラーが24分の出場となったが、他は全員でプレータイムをシェアして最後までダイナミズムを保った。対する新潟は主力のほとんどが30分超え。前日はナイトゲーム、そしてこの日は13時試合開始という状況では厳しかった。

北海道は内容だけでなく6勝2敗と結果もついてきている。水野宏太ヘッドコーチは「自分たちの色を出して、勝ち方を見つけることができた2試合。チームの継続した向上と、結果を出すことによって得ることができる自信に繋げていきたい」と語る。

今日大活躍の多嶋は、最終クォーターの勝負どころで高いパフォーマンスを連日発揮したことについて「自分たちの粘りのプレーがボディブローのように最後に効いてきて、第4クォーターに良い展開に持ってくることができた」と語る。また20得点については「あまり考えすぎることなく、思い切ってプレーすることができた結果」と振り返った。

激戦の東地区で『台風の目』となりつつある北海道。25日の千葉ジェッツ戦は、真価を問われる一戦になりそうだ。