文・写真=鈴木栄一

中と外、先発とベンチとバランスの良いバスケを展開

10月15日、千葉ジェッツが敵地に乗り込み栃木ブレックスと対戦。序盤から攻守で圧倒し、第3クォーター終了時で23点の大量リードを奪って77-54と圧勝した。これで連勝の千葉は、今シーズン5勝1敗に。ホームで痛恨の連敗を喫した栃木は2勝4敗で東地区の最下位となっている。

前日、千葉は第4クォーター残り5分から14点差をひっくり返しての大逆転で勝利。この第2戦では第1クォーターにマイケル・パーカーの活躍で19-11とリードを奪うと、堅いディフェンスで栃木のオフェンスを封じ、前半で38-23と先行する。

第3クォーターに入ってもその勢いは衰えない。トニー・ガフニーの外角シュート、パーカーや小野龍猛のインサイドアタックで突き放す。第4クォーターに入ると栃木も開始早々に喜多川修平が3ポイントシュートを沈め、反撃のきっかけを作ったに見えたが、逆に千葉は直後に原修太が2本連続となるダメ押しの3ポイントシュートを沈め、昨シーズンのリーグ王者を圧倒した。千葉は、富樫勇樹が8得点10アシスト、パーカーが18得点8リバウンド2アシスト2スティール。さらにガフニーが18得点、原が10得点と先発、ベンチとバランス良く得点を重ねた。

「全員でリバウンド、全員で走るんだと強調しました」

この試合、大きなカギとなったのは第1クォーターの攻防だ。前日の試合、栃木はセドリック・ボーズマンがこのクォーターだけで11得点を挙げ、25-15と目論み通りの優位に立った。しかし、今日は千葉がリードを奪う真逆の展開となった。

千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「昨日、龍猛に負担をかけたくないとアキ(チェンバース)を早めに投入し、3ポイントシュートを決めていた石井(講祐)を下げたところは僕のミスだと思ったので、もう少し龍猛で様子を見ました。控えにはアキがいますし、彼らに託そうと思いました」とボーズマン対策についてコメント。

第1戦では第1クォーター早々にチェンバースを投入。ボーズマンのマークを小野からチェンバースへと変更したのだが、サイズの不利を突かれてうまくいかず。これを受けて、この日はサイズで対抗できる小野にボーズマンを引き続きマークさせると、小野がしっかりと期待に応え、第1クォーターでのボーズマンは3得点。試合全体でも昨日の16得点から9得点へと減少した。

そして大野ヘッドコーチは、「昨日の試合でできていなかったことにもう一度フォーカスし、この試合の前の1週間、準備し続けたことをやり続けよう、と言いました。オフェンス中心で物事を考えない。ボールマンにプレッシャーをかけるチームディフェンスをして全員でリバウンド、全員で走るんだと強調しました」と守備の勝利であると総括している。

「千葉に対して、現状においては向こうが上」

栃木の長谷川健志ヘッドコーチは「昨日はラスト5分がああいう形での敗戦となり、今日はもう一回、気持ちを強く持って立ち向かおうと試合前に言いました。気持ちはありましたが、一つひとつのプレーでアグレッシブさが足りなかった。相手のオフェンスを止められるだけの激しいディフェンスができなかったです。オフェンスでも消極的な部分がありました」とコメント。さらには「千葉に対して、現状においては向こうが上だと思います。我々のできることを40分やり続けないと勝てない。それは昨日35分までできていても勝てなかったことが示しています」と力の差を認めている。

また、オフェンスの消極的な部分については、エースのライアン・ロシターも同様の考えだ。「オフェンスでアグレッシブさがなく、シュートを打てるところでためらい、パスをしてしまったのが良くなかった。そこからターンオーバーを喫し悪い流れになってしまった」

「シュートを打ちたくないわけではないと思うが、(新しいメンバーと)チームのケミストリーを構築している途中で、それぞれどこで打ちたいのか、何をしたいのかお互いに探っている段階。そういうところから遠慮気味になってしまった。シュートを打って外れたら次のプレーに集中すればよいだけ。ここはシーズンを通して改善していくこと」。ロシターはこう語り、大きくメンバーが入れ替わったことで意思の疎通がまだまだスムーズに行っていないことを認めた。

昨年から多くの主力が残っている千葉、逆に大きくメンバーを変えた栃木。図らずも何よりもチームとしての成熟度の差が、大きく露呈したこの2日間となった。

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