[ウインターカップ特集]桜花学園の井上眞一監督「一つひとつ勝っていけば優勝」

[ウインターカップ特集]桜花学園の井上眞一監督「一つひとつ勝っていけば優勝」

2019/12/20

井上眞一

高校バスケ界の『女王』こと桜花学園は、今夏のインターハイを制し、U16チームで争われた秋の茨城国体も制して3冠に王手を掛けている。勝ちに慣れたチームではあるが、ウインターカップでは過去2大会で優勝を逃しており、誰よりも勝利にこだわる井上眞一監督は、妥協を許さないチーム作りを突き詰めて、今回のウインターカップに臨むつもりだ。

「小さくてもスピードのある選手をどう止めるか」

──ウインターカップが近づいていますが、今のチーム状況はいかがですか?

ピリッとしませんね。3年生がリーダーシップを取れなくて、チームをまとめることができていません。インターハイの時はしっかりしていたのですが、国体が今年からU16になりほぼ2カ月間は1年生中心でやっていました。期末テストが終わってさあウインターカップだ、といった時にどうも3年生がおかしい。試験が終わって練習を再開した初日に3年生を叱ったのですが、まだそれが続いている感じです。

気持ちが乗れていないというか、天狗になっている。チャレンジャーとしての気持ちができていないと感じました。全部勝ちたいという気持ちから国体にも集中したのですが、1年生がメインになった2カ月間の練習が甘さを呼んだという感じです。

国体を1年生でやることになって、大会中は私も1週間ぐらいチームを留守にしたので、今年は国体がチームにとってマイナスになったという反省があります。私が何も言わないと自主的に練習ができないチームで、誰かを頼っている甘さがあると感じます。

──それでも今のチームはインターハイで強さを発揮して優勝していますし、どのチームに聞いても「今年の桜花学園は隙がない」と話して、3冠を取って当たり前という雰囲気があります。

私自身はそう思っているのですが、選手にはその感覚があるのかどうか。ここからは相手のアジャストをし始めて、なおかつ自分たちのバスケットをいかにできるか。そのためにはディフェンスをして速攻を出すのが大事で、それができるようになれば元に戻ると思っています。

そのためのカギになるのはポイントカードの江村優有ですが、今はコントロールだけしています。もっと積極的に攻める姿勢が欲しいです。それでも留学生の(オコンクウォ・スーザン)アマカに一番声を掛けるのは江村だし、2年生なりにチームをまとめようとする姿勢は見えます。アマカはここに来て良くなりました。もっとも、バスケットを何も知らない素人からのスタートです。だけど一生懸命に練習するし、性格もすごく良くてみんなと上手くやっていますよ。

──まずは自分たちのバスケットを取り戻すのが大事。その次に相手を見た場合、どんなことがポイントになりますか?

今回の組み合わせでは、留学生を含めてサイズ的に大きなチームが全部反対側に行きました。なので小さくてもスピードのある選手をどう止めるかが大事になります。大きなチームとやるよりも、小さな相手にスピードのミスマッチを作られる方が、対応としては厄介ですよ。

井上眞一

「女子は世界に出てもスキルで通用しています」

──少しウインターカップから話題を変えますが、年が明けると東京オリンピックです。もともと井上先生は教え子をオリンピックで応援するのを楽しみにしていました。今は3x3の代表もあり、桜花学園のOGがオリンピックに出るチャンスは広がっています。

三好南穂も山本麻衣も、小さい選手が2ポイントシュートを決められれば有利になるから3x3の代表に選ばれていると思います。5人制の代表のポイントガードは3人で、たとえそこに入るのが厳しくても3x3でチャンスがあるのはありがたいです。

──ちなみに、男子と女子では高さやフィジカルの問題は同じなのに、アジアでも世界でも女子日本代表の方が結果を出しています。女子が世界に出ても戦える理由は何でしょうか?

アンダーカテゴリーの結果だとベスト8に入ったりベスト4だったり、世界のレベルでも結構やれていると感じます。ただU18から先は伸び率が悪いので、ここが課題です。戦えている理由はスキルがあるから。単純に、世界に出てもシュートやドリブルのスキルで通用しています。

──桜花学園が女子日本代表の強さの一端を担っているという自負は?

いや、それはミニバスからだと思います。

──見方を変えて、では男子はなぜ苦戦が続くのでしょうか?

男子は野球をしたりサッカーをしたり、身体能力でトップレベルの子が必ずしもバスケをやっていないことが関係しているのかもしれません。環境もあると思います。最近一つ懸念しているのは、高校の監督のレベルが下がっているんじゃないかということです。いろんなチームの練習まで見たわけではありませんが、試合を見たらどのような練習をしてきたかはある程度は分かりますし、そこで指導者の勉強不足を感じることがたびたびあります。別に桜花学園のバスケを見ろ、とは言いません。恩塚亨(東京医療保健大学)はアメリカのデューク大へ通っています。彼ほど勉強する高校の指導者はいないと思います。

井上眞一

「平成では3冠を取ったから、令和も3冠を取りたい」

──ウインターカップに話を戻すと、大会の山場となるのは決勝、岐阜女子を想定しますか?

対戦相手はそれぞれありますが、いかに桜花のバスケットをやれるかがポイントになるので、相手どうこうとは考えません。それでも岐阜女子は桜花対策を相当にやってくると思うので、ディフェンスについてはこちらも準備していかなきゃいけないと思っています。

今年の桜花のバスケットは江村がコントロールして、アマカのところで締める。そうすればアウトサイドの3ポイントシュートが安定します。フルコートで当たりに来るチームが多いと思うので、そこでモタモタしないで一気にフロントコートに持ち込むこと。セットを組まずにいかに崩していけるかがカギになると思います。

──その部分でのキーマンは江村選手で、そのゲームコントロールが重要になりますね。

コントロールしすぎるのが気になります。1年の時はドリブルが多すぎて失敗して、2年生になってドリブルをとにかく減らせと。ドリブルからパスへとスタイルを変えて良くなったのですが、今はまたドリブルが増えてきたので注意しているところです。

ただ、やはりチームの持ち味をどう出すかと考えると、ディフェンスが重要です。今は戻りが遅いのと、ドライブに対してついていく足が弱いです。1対1でのディフェンスの弱さは大会までに何とかしたいし、ヘルプをいかに早くできるかが非常に大事になってきます。

──井上監督自身の今大会への意気込みはどんなものですか?

平成では3冠を取ったから、令和も3冠を取りたいと思っています。負けず嫌いなのは年齢を重ねても変わらないですね。負けたら悔しくて眠れないし、24時間ずっとバスケットのことを考えているようなものです。「桜花のここを見てください」というのはあまりないのですが、勝ち負けが決まるのは走るバスケットに持ち込めるか、トランジションができるかだと思います。優勝したい気持ちは強いですが、結局は一つひとつ勝って行けば最後には優勝になりますから、一つひとつを大事に戦っていきます。

桜花学園

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