文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

スモールラインナップが功を奏し猛追

琉球ゴールデンキングスと名古屋ダイヤモンドドルフィンズの第2戦。終盤までもつれる激闘を制したのは、少ないチャンスをモノにした琉球だった。

「彼らが最初から激しくやってくることは分かっていたんですが、第1クォーターはその激しさにやられた」と佐々宜央ヘッドコーチが試合を振り返ったように、主導権を握ったのは名古屋Dだった。4508人と大入りとなったホームの声援に後押しされた名古屋Dは、ハイテンポなオフェンスでリズム良く得点を重ねていく。ディフェンスでもリングに向かってくる相手に対し、最後までプレッシャーをかけタフショットを誘発した。

22-15と先行した名古屋Dは第2クォーターに入っても、クレイグ・ブラッキンズの3ポイントシュート、中東泰斗のドライブ、速攻とバランス良く得点を積み上げ、37-22と15点のリードを奪った。

だが琉球はこの我慢の時間帯を耐え反撃に転じる。岸本隆一、二ノ宮康平、津山尚大というスモールラインナップを起用し、その機動力を生かして高い位置からプレッシャーをかける。またゾーンディフェンスも併用し変化をつけて、名古屋Dのオフェンスを停滞させた。

そのアグレッシブなディフェンスが琉球に流れを呼び込んだのか、フィフティーフィフティーのボールはことごとくアイラ・ブラウンの手に収まるように。そのアイラがこのクォーターで9得点を挙げ、二宮が最後のポゼッションで3ポイントシュートを沈め、40-44と点差を一気に縮めた。

結果論ではあるがこの我慢の時間帯を乗り切ったことが勝因だと佐々コーチは語った。「15点離された時に、それを20点にされなくて、そこを1桁にしようと粘ってくれて、最後の最後でチャンスをつかみ取れたのが大きかったです」

試合を決めた岸本、二宮のビッグショット

後半開始2分、二宮の3ポイントシュートで琉球が逆転すると、ここから一進一退の攻防が繰り広げられた。ヒルトン・アームストロングがバスケット・カウントを決めれば中東泰斗がバスケット・カウントを返し、3ポイントシュートには3ポイントシュートとどちらも一歩も譲らない。

それでも、名古屋Dの11本中6本の成功に留まった低調なフリースローに助けられ、63-61と琉球がわずかにリードして最終クォーターを迎える。リードチェンジを繰り返す展開の中、アイラの速攻が決まり77-76と琉球がリードした残り2分28秒から試合が大きく動いた。

岸本のレイアップがジャスティン・バーレルのブロックショットに阻まれるも、ハッサン・マーティンがオフェンスリバウンドを拾い、ボールは再び岸本へ。そこで放った3ポイントシュートはショットクロックのブザーと同時にリングに吸い込まれた。直後のディフェンスでマーティンがパスカットに成功しポゼッションを奪うと、今度は二宮がショットクロックわずかなところから3ポイントシュートを沈めた。残り1分6秒でこの日最大となる7点のリードを奪った琉球が、最終スコア85-81で激闘を制した。

接戦を制し満足気なアイラ「ディフェンスがカギだった」

球際のボールをことごとく拾い、それを得点につなげたアイラは20得点11リバウンド6アシスト5スティールと圧倒的な存在感を放った。そのアイラは「コンスタントに名古屋に決められたが、ディフェンスでステップアップしていき、ディフェンスがカギだった。あとは2人(岸本と二ノ宮)のビッグショットです」と勝因を語った。

琉球は敵地で連勝を収め3連勝をマーク。サンロッカーズ渋谷との開幕節は平均60得点とオフェンスが噛み合っていなかったが、ここ2試合で91得点、85得点と高い数字を残した。ケガで出遅れている古川孝敏を欠く中でこの破壊力。開幕前の予想通り、今シーズンの琉球は台風の目になりそうだ。

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