文=バスケット・カウント編集部 写真=B.LEAGUE

先週に2年目のシーズンがスタートしたBリーグ。1年前の『歴史的開幕戦』で目玉選手となったディアンテ・ギャレットは去ったが、彼に代わってリーグを盛り上げる外国籍選手が多数やって来た。開幕節で大きなインパクトを見せた選手を紹介したい。

迫力十分のオルトンは日本人では1on1で止められない?

まずはシーホース三河に加入した208cm120kgのビッグマン、ダニエル・オルトン。プロフィール上では133kgのアイザック・バッツより軽いが、プレーの力強さでは引けを取らない。さらにはハンドリングのスキルも高く、日本人ビッグマンが1on1で止めるのは相当難しいだろう。巨漢だけにランニングプレーは望めないが瞬発的な縦への動きに強く、ブロックショットでは昨シーズンまで在籍したギャビン・エドワーズ以上の脅威となりそうだ。

それでも、開幕節の栃木ブレックス戦ではまだチームにフィットできておらず、Bリーグの試合のリズムにも乗れていない印象。フォア・ザ・チームでフィットすれば相当手強いだろうが、ここは本人のバスケットIQと鈴木貴美一ヘッドコーチの手腕が問われる。

『ビッグマン』という言葉どおりのインパクトでオルトン以上なのが京都ハンナリーズのジョシュア・スミスだ。プロフィール上では138kgだが、本人が開幕第2戦のヒーローインタビューで「150kg」と明かしている。リーグで最もヘビーなスミスは、出て来た時点で「とにかくデカい」と見た目のインパクトが強烈だ。

高さだけでなく横幅を生かしてゴール下にスペースを作り出し、得点を重ねていくタイプで、勢いに乗ったら手が付けられない恐ろしさがある。意外と動ける上に、インサイドで起点となってアウトサイドのシューターにタイミング良くパスをさばく器用なプレーも見せる。良くも悪くも古典的なセンターであり、『走れるビッグマン』が多いリーグにあって京都がこの個性をどれだけ効果的に使うことができるのか、京都ファンならずとも注目したい部分ではある。

21歳にしてエースの期待がかかるルーキー、マーティン

琉球ゴールデンキングスに加入したハッサン・マーティンは4番にしてもサイズは物足りないものの、それを補って余りある身体能力の持ち主。ディフェンス能力が売りの大卒ルーキーだが、サンロッカーズ渋谷との開幕節ではオフェンスでも奮闘。チームメートになったアイラ・ブラウンにも負けないエナジー満点のアタックから豪快なダンクを決めて沖縄のバスケファンにアピール。序盤戦は古川孝敏をケガで欠く琉球においてエーススコアラーの期待がかかる。

大阪エヴェッサのデイビッド・ウェアはスモールフォワードもこなす機動力のあるビッグマン。ケガ人が出た影響でセンターとしてプレーしたが安定したディフェンスを見せ、攻めでも判断のスピードが早くオフェンスを停滞させることなく、ウェアが入ると大阪のボールの回りが良くなっていた印象だ。周囲をサポートしつつ自らも積極的に得点を狙った。初戦はとにかくシュートが入らず4得点と不発に終わったが、形はできていた。続く第2戦では17得点を挙げてチームに貢献している。

1巡目2位指名の『貫禄』を見せる221cmのサビート

横浜ビー・コルセアーズのハシーム・サビート・マンカは221cmの高さを誇るタンザニア出身のセンタープレーヤー。2009年にNBAドラフト1巡目2位指名を受けた逸材ではあるが、2年間という決して短くないブランクがあるということで、期待と不安が入り混じった感情でファンは彼を出迎えたことだろう。それでもこれだけのサイズがあると、200cm超えが当たり前のBリーグのビッグマンたちに混ざっても一際目を引く。実際にプレーが始まると、想像以上に動けるし、寄せてくる相手の逆を取るクイックネスもあり、しっかりとトレーニングを積んでいたことを証明した。チームに合流したのが遅く、これから連携を築いていく必要はあるが、まずは上々のスタートを切ったと言えるだろう。

滋賀レイクスターズのディオール・フィッシャーはウイングスパン229cmを誇るセンター。期待されているリバウンドやブロックの強さは当然として、インサイドでフットワークを使ってズレを作り、シュートを決める巧みなプレーも披露。ユーロリーグで長く活躍した経験と勝負強さをチームにもたらす存在になる。昨シーズンに残留の決め手となったジュリアン・マブンガとクレイグ・ブラッキンズが退団した滋賀にとっては心強い補強だ。

レバンガ北海道のグレゴリー・ウィッティントンは富山グラウジーズとの第2戦で最終クォーターの大逆転劇の主役を演じた。203cm95kgは少々物足りなく感じるが、自分よりサイズのあるサム・ウィラードを背中でゴール下まで押し込み、鋭いターンから決めるパターンで得点を量産。大量ビハインドから追い上げる状況、1つのポゼッション無駄にできない重圧のかかる場面で「俺によこせ」と言わんばかりの攻め気も見応え十分だった。

他にも多数の新外国籍選手がBリーグに参戦しているが、その多くはまだコンディションや連携に課題を抱えており、ここから試合を重ねるごとにフィットし、そう遠くない時期に『本領発揮』となるはず。どのチームも『助っ人』への依存度は高く、そのパフォーマンスがチーム成績に直結するケースも少なくない。彼らがどれだけ活躍するか、そしてチームがその個性をどれだけ引き出せるか、それが序盤戦の最重要ポイントと言っても過言ではない。