レブロン・ジェームズ

「母一人に育ててもらって、父親も兄弟もいなかった」

レイカーズのレブロン・ジェームズは、NBAを代表するスター選手であると同時に、世界的にもスターという立ち位置にいるトップアスリートの一人だ。

富も名声も手にした彼だが、その原点は母親に育てられたクリーブランドのアクロンで過ごした幼少期にある。レブロンは、先日ハリウッドでのイベントに参加した際、雨が草木の葉っぱに降る音を、寝る前や日中の昼寝の時に聞いていることを明かした。

「このサウンドは、実は僕が夜に寝る前、もしくは昼寝の時に聞いているものなんだ」と語り始めたレブロンは、こう続けた。

「これは、雨が草木の葉っぱに降る音。この音を聞くと、アクロンで育った頃のことを思い出す。当時は、生活が苦しかった。母一人に育ててもらって、父親も兄弟もいなかった。雨が降ると、『どうして自分がこんな目に遭わないといけない。どうして母がこんな目に遭わないといけないんだ』と自問したものだよ。その時の生活は苦しかったけど、雨が葉っぱや窓に打ち付けられる音は美しいと思ったんだ」

バスケットボールの才能により、彼の存在は全米に轟き、2003年のドラフト全体1位でキャバリアーズから指名された。NBAオールスター選出、優勝、そしてアメリカ代表として出場したオリンピックで金メダル獲得など、その後の足跡は誰もが知るところだ。

バスケットボール以外の分野でも才能を発揮している彼は昨年の秋、故郷アクロンに『I Promise School』という公立の学校を設立した。

経済的に苦しい家庭に生まれた子供たちに教育を受けさせる機会を与えるため、レブロンは学校設立という形で、永続的にこれからの世代を支えようとしている。同校は授業料無料の学校で、卒業生がアクロン大学に進学した場合、その授業料まで保障される。また、子供たちだけでなく、彼らの両親にも高校卒業と同程度の資格を得る支援、仕事を斡旋するサポートも請け負う巨大な組織を、彼は作り上げた。

多忙なスケジュールをこなすレブロンは、雨の音を聞くたびに、夢や希望を持つのが簡単ではなかった幼少期を思い出しているのだろう。だからこそ彼は、日々の努力を怠らず、常に危機感を持って何事にも取り組んでいるのかもしれない。