チームに勢いを与えるハードなディフェンス
先週末に行われたBリーグ開幕節、シーホース三河は栃木ブレックスとの初戦でまさかの大敗を喫した。『堅守とリバウンド』という栃木の強みばかりが目立ち、三河の良さはほとんど出せないという試合展開。それでも第2戦では前日とは見違えるようなパフォーマンスを見せ、今シーズン初白星を挙げた。
チームに火をつけたのは橋本竜馬だ。前線から激しいプレッシャーをかけ、攻めるようなディフェンスを披露。「気持ちの入ったプレーが第1クォーターからできました。しっかりとハードにプレーできて、チームに勢いを与えられことは良かった」と、橋本は序盤のプレーを振り返った。
田臥勇太がアクシデントで試合開始早々に交代。ルーキーの生原秀将を狙い撃ちするかのように攻め立てて3つのスティールを奪い『プロの洗礼』を浴びせた。「ポイントガードに簡単にプレーさせないようにと思っていたので、今日のポイントガードが田臥(勇太)さんだったとしてもそのプレーは継続していました」と、前日の大敗を受けて試合開始からアクセル全開だった。
第2戦では三河が今シーズンから取り組んでいる『速い展開』も見せることができた。もっとも、多くのチームが取り組んでいるような『走るバスケット』ではない。もともとがハーフコートバスケットを得意とするチーム。その長所を放棄することなく、速攻で行ける時は一気にフィニッシュまで持っていく素早いトランジションを組み込むのが新スタイルだ。
速攻でフィニッシュに持ち込むことができなくても、早くボールを運ぶことでハーフコートバスケットにかけられる時間は長くなる。もともと持つ強力なハーフコートバスケットにも良い相乗効果が生まれる。
そのトランジションを指揮する橋本は『展開を読む力』が大事だと語る。「その時々の調子を見るっていうことは非常に重要だと思いました。ここ一本欲しいときなど展開を読む力が大事だと感じたので、そこは駆け引きの問題もありますし、チームとして良いシュートを放り続けるっていうのも重要になってきます。ただ単純に速い展開にするのではなく、どれだけ質の高いシュートをその中で打っていくかが重要です」
互いに助け合い、全員がリーダーシップを取るチームへ
橋本と言えば激しいプレッシャーディフェンスだが、同時に闘志を前面に押し出してチームメートを引っ張るリーダーシップもある。プレーが切れた時には選手を呼んでハドルを組み、ベンチにいた時には一番先頭で選手を出迎えるなど、そのリーダーシップも開幕節から随所に見られた。
第2戦の試合途中、ダニエル・オルトンが相手ゴール付近で倒れていた時、橋本は自陣から猛ダッシュで駆け寄り、誰よりも早く助け起こした。「チームメートが倒れていたら、全員が手を差し伸べるようなチームにしていきたいと思っています。そういうところがチームを強くしていくと思います」と橋本が言う。「助けてもらったら、今度はこいつを助けてやろうだったり、チームを助けてやろうっていう気持ちが出てくると思うんです」
「僕も英語は堪能じゃないですし、単語単語でしかしゃべってあげられないですけど、自分の気持ちを伝えて、自分という人物を本人に知ってもらうことによって、プレーも円滑に進むと思います」
今シーズンからは狩俣昌也がキャプテンを務めるが、それで橋本のスタイルが変わるわけではない。「キャプテンではないんですけど、リーダーシップを取るのは誰がやってもいいと思っているので、そういった意味でのリーダーシップは常に取り続けていきたいです。これからの僕の人生の中でも非常に重要になってくると思いますし、そういうリーダーになっていきたいです」
橋本のこうしたリーダーシップがチームを落ちつかせ、個性派揃いの三河を一つにする。橋本の目指す『誰もが手を差し伸べる』チームになれるかどうか、それはプレーのケミストリーよりもずっと重要なことだ。
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