スティーブ・カー

「今は若手の育成が中心になっている」

ウォリアーズは4勝18敗と大きく負け越している。ケビン・デュラントがチームを去り、クレイ・トンプソンは長期離脱中。これだけでも苦しいのに、ステフィン・カリーやディアンジェロ・ラッセルまでケガをしてしまえば、これまでのウォリアーズのバスケットができないのも、勝ち星が伸びないのも当然だ。

勝ちに慣れたチームだからこそ、今の状況は受け入れがたいのではないか。しかし、選手としてもコーチとしても勝ち続けてきたスティーブ・カーは、この状況に悲観し、投げ出すつもりは全くない。むしろ、若い選手を成長させ、自らも学ぶことを怠らずに成長することが、苦境にくじけないモチベーションになっている。

成績は上向かないが、ウォリアーズの雰囲気は悪くない。それは指揮官カーが下を向くことなく統率力を発揮しているおかげだ。23歳のエリック・パスクホールを筆頭とする若手たちは、貴重なチャンスを得て、カーの下で積極的なプレーを見せている。

「コーチとして成長するにはどうすればいいかを学んでいる。今のような状況のチームを指導した経験はないし、状況は常に変わる、毎年毎年が違うシーズンだということにあらためて気づかされたよ」とカーは言う。

「ここ5年間、チームは優勝候補だったから、シーズンを通してのチームマネジメント、プレーオフへの準備、そして選手を適切に休ませることが私の主な仕事だった。だが今は若手の育成が中心になっている」

ウォリアーズは上向くことなく今シーズンを終えるかもしれないが、そうなればドラフトの上位指名権を得られる。カリーとトンプソンが戻ってくれば、ウォリアーズは再び優勝候補になるだろう。そして何より、この1年でカーは指導者としてまた新たな成長を遂げる。今シーズンのウォリアーズは期待外れに終わるとしても、その『王朝』が終わったとは限らない。