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NBAキャリアで指導を受けた指揮官の『個性の違い』

ジミー・バトラーは、NBA1年目から4年目まで、自分の信条を決して曲げない熱血漢トム・シボドーの指導を受け、選手として大きくレベルアップした。そしてシボドーがフロントと衝突して解任されると、後任のフレッド・ホイバーグの下で2シーズンを過ごした。

選手との衝突を気にしないシボドーとは異なり、ホイバーグは柔和な対話路線派で、チーム内の争いを好まないタイプだ。バトラーはホイバーグに「もっと厳しく指導してもらいたい」と望んだが、その願いは聞き入れられなかった。そして、ブルズのケミストリーが機能しなかったことは、ホイバーグ就任からの2シーズンの結果を見れば明らかだった。

チーム方針を若手育成に切り替えたブルズは、今夏バトラーをシボドーが率いるティンバーウルブズにトレードした。バトラーは先日『Vice』とのインタビューで、ホイバーグとの考え方の違いについて、こう述べた。

「僕は衝突を好む。挑戦的な部分が自分を前に進めてくれる。もちろん、誰しもがそうではないよ。ホイバーグはそういうタイプの指導者ではない。そこに何の問題もない。指導者によってはスタイルが異なるからね。周りからは、『ブルズはジミーのチームなのか、それともフレッドのチームなのか』と言われたよ。僕たちの考え方が異なることで、様々な意見を生んだ。ただ、今のブルズが優勝を目指すのか、若手起用を重視するのかは明らかだよね。彼らの決断に不満はないよ。それがビジネスだし、彼らの球団なのだから思うようにやればいい」

一般的には、ホイバーグのような柔和スタイルは、すでに選手としてのポジションを確立させている実力者たちが集まったチームで機能するもの。だが、今の若手中心で再建に乗り出したブルズに、若手を成長させるための強い指導力が必要と言われるのも無理はない。ホイバーグが自分のスタイルを貫きながらチームを再建できるか、彼にとっては勝負の1年になる。

ブルズを離れたバトラーは、新天地ウルブズで再びシボドーとタッグを組むことに。カール・アンソニー・タウンズ、アンドリュー・ウィギンズといった若手に加えて、バトラー、ジャマール・クロフォード、ジェフ・ティーグら実力者たちが揃うチームをどう完成させるのか、シボドーに課せられた役割もまた大きい。

バトラーが言うように、シボドーとホイバーグ、バトラーとホイバーグの個性は異なる。それが良いか悪いかが問われるべきではなく、どちらがチームにフィットし、結果を残せるかどうかが重要。結果的にブルズを追い出された形になったバトラーが言うとトゲがあるように聞こえるかもしれないが、その発言には、NBAのビジネスで最優先されるべきことが含まれている。