川崎のファジーカスが最強スコアラーぶりを発揮
9月2日、アーリーカップ『関東』大会の2回戦でアルバルク東京と川崎ブレイブサンダースが激突。レギュラーシーズンのような激しい激闘となった試合は、終了間際にザック・バランスキーが劇的な勝ち越し弾を沈めたA東京が63-62で勝利を収めた。
この試合、第1クォーターはオン・ザ・コートの数が川崎「2」、A東京が「1」。第2クォーターになると川崎「1」に対しA東京「2」と両チームで違いが出る。その差が影響したのか、第1クォーターに川崎はリーグ最強スコアラーのニック・ファジーカスがいきなり10得点を挙げ23-15と先行。しかし、第2クォーターに入ると今後は外国籍選手の数で優位に立つA東京が、ジャワッド・ウィリアムスの8得点などで追い上げ、川崎が32-27とわずかに上回って前半を終えた。
第3クォーターに入ると川崎はファジーカスがこの10分間だけで12得点と再び得点を重ねてチームを牽引し、リードを11点にまで広げる。しかし、第4クォーターに入りA東京が反撃を開始。徐々に追い上げると残り約3分半からバランスキー、田中大貴の連続バスケットカウントなどで1点差に肉薄した。
その後、ともにシュートを1本ずつを決めた後、残り5秒でバランスキーがインサイドへのアタックから見事なステップバックシュートを決めて63-62と逆転土壇場でリードを奪ったA東京がそのまま逃げ切った。
「必ず我々に波が来ると信じてプレーした結果」
A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、「前半はリードを奪われる苦しい展開でしたが、最後までしっかり戦えました。今日のテーマは激しく戦うことで、なんとかくらいついて後半は必ず我々に波が来ると信じてプレーした結果が出ました」と、我慢強いプレーを勝因に挙げた。
そして最後、バランスキーの値千金のシュートについては「川崎は全員がとてもタイトでスマートなディフェンスをしていました。それに苦労していましたが、(タイトだった分)スペースがあり、そこをザックが突いて主導権を握れると思いました。ビッグショットを決めてくれた彼を褒めたい」と分析している。
また、勝ったもののファジーカスに33得点を許したことについては「ディフェンスで用意したものをカウンタームーブでやられてしまいました。レギュラーシーズンの戦いではもっと止めたいです」とあらためて警戒したが、「33点ではなく30点にはしたいですね」と意外なジョークでまとめている。
そして本日のヒーローであるバランスキーは、「今年は本当に選手層が厚くて、毎日が切磋琢磨で刺激になっている。試合に出られないのは辛いですが、その中でもいつでも準備はしています。チャンスが回っていた時はいつでも思い切ってやろうと思っていました」とコメント。
今オフ、A東京は大物ルーキーの馬場雄大が加入し、外国籍選手も昨シーズンと違いビッグマンが3人となって、3番と4番でプレーするバランスキーにとっては出場時間の確保が難しくなっている。その中でも、「プレータイムが少なくてもやるべきことはある。自分が出た時、それを徹底してやろうと思います」と高いモチベーションを臨み、健在ぶりをしっかりと示した。
川崎は佐藤アシスタントコーチが指揮「彼の成長が一番」
痛い逆転負けを喫した川崎だが、この試合は北卓也ヘッドコーチではなく、佐藤賢次アシスタントコーチが指揮を執っていた。「アシスタントコーチが指揮を執るNBAサマーリーグを見ていいなと思っていて、7月の時点から佐藤には『アーリーカップを任せる』と伝えていました。いろいろな経験をさせてあげたいですし、『初めての采配ですごい経験ができたね』とは言いました。彼の成長が一番です」と、この起用の意図について語る。
また、試合については「ニックの調子が良いのは分かりますが、後半はディフェンスが寄っていると分かっているのに彼にボールを集めすぎでした。そしてガード陣がプレーを狙いすぎて、時間がなくなってタフショットを打たないといけなくなっていました。まだまだこれからです」と総括している。
アーリーカップは今日が最終日。13時からの3位決定戦で川崎は栃木ブレックスと、16時には決勝でA東京は千葉ジェッツと対戦する。
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