「この調子で進んでいけば可能性は無限大だ」
現地11月9日、キャバリアーズはホームでのネッツ戦に105-100で勝利し、開幕からの連勝を11に伸ばした。再建中や不調のチームを相手に連勝を続けてきたが、この前日には絶好調のウォリアーズに136-117の快勝を収め、低評価を覆す健闘を見せるネッツにも勝った。
ウォリアーズのドレイモンド・グリーンは完敗を受け入れ、キャブズのバスケを「まるで長らく僕たちウォリアーズがやってきたバスケだ。ボールが動き、選手たちが飛び回って、エクストラパスが出る。ドライブ、キック、スイングで僕らは切り刻まれた」と表現した。そして、直近の3年間でケニー・アトキンソンをアシスタントコーチとして抱えていたスティーブ・カーは「リーグで最高のチームの一つを作り上げたと言っていいだろう」とその手腕を称える。「最高の仕事だよ。まるで10年前の私みたいにね(笑)」
それでも、10連勝もすれば対策されるのがNBAだ。アトキンソンは昨シーズンまで在籍したウォリアーズと戦った翌日、かつてヘッドコーチを務めたネッツと対戦した。ネッツはキャブズの速いテンポとは真逆の、スローペースで選手の個人技を最大限に引き出すバスケをしてくる。試合序盤はキャブズのスピーディーなバスケに振り回されたが、テンポを落として次第に自分たちの展開に引き込んでいく。第3クォーターのキャブズは13得点に抑えられ、70-82で最終クォーターを迎えた。
1試合当たりの得点でリーグトップのキャブズが、36分間で70点しか取れないのは異常事態で、ネッツの戦術が完全にハマっていた。しかしここで、アトキンソンは新たな戦術を持ち出した。エバン・モーブリーの1ビッグにガードを4枚起用するスモールラインナップ。これで強引に試合のペースを上げ、自分たちの展開を作り出す。
両チームとも2日連続の試合ではあったが、キャブズがホームでの連戦だったのに対し、ネッツはアウェー2連戦で体力的なキツさが第4クォーターに出たこともあるが、素晴らしいゲームメークを見せていたデニス・シュルーダーがキャブズの猛烈なプレスとオールスイッチのディフェンスに追い込まれて失速。キャブズは最終クォーターだけで6つのターンオーバーをネッツに強い、そこから速攻へと繋いで一気に試合をモノにした。
そして、若いタレントが揃いながら最後はドノバン・ミッチェル頼みのオフェンスからも脱却している。最終クォーターのミッチェルの得点はすべてフリースローによる5点のみ。攻撃をリードしたダリアス・ガーランドが8得点2アシスト、シュート好調のキャリス・ルバートが8得点、そしてシックスマンとして活躍を続けるタイ・ジェロームが4得点5アシストと、ネッツに守りどころを絞らせなかった。
終盤のスモールラインナップを「気分良くプレーできた。全員の共通理解の下、それぞれが持ち味を発揮した」とモーブリーは言い、ガーランドは「スイッチディフェンスが決め手だったと思う」と続ける。「1番から5番までスイッチして、ピック&ロールにはブリッツを仕掛ける。コートのどこでもボールを奪う機会があったし、奪えばトランジションでイージーな得点に繋ぐことができた。試合の終盤になるにつれて効果が増した」
勝利は自信になり、その積み重ねがキャブズをより強くしている。モーブリーは「トレーニングキャンプからずっと全員が同じ方向を向き、自分たちのバスケを上手く機能させるには何が必要かを考えて、少しずつ修正を重ねている。この調子で進んでいけば可能性は無限大だと思うよ」
ガーランドも、自信をこんな言葉で表現している。「このリーグで一つ勝つのがどれだけ難しいか、僕らは分かっている。でも今は11勝0敗だ。僕たちはもう追われる立場だよ」