デイビスをゴール下で勝負させることをチームで徹底
208cmの高さに抜群の身体能力を兼ね備えたアンソニー・デイビスがレイカーズの中心として機能し、開幕から8試合中6試合の30得点超えを記録して得点ランキングのトップに立っています(32.4得点)。ただしこの活躍は、彼自身の好調というより新ヘッドコーチのJJ・レディックが導入したデイビスを生かすためのチーム戦術が大きな要因になっています。
デイビスの得点は昨シーズンから速攻が1.9から4.3(+2.4)、ペイント内で15.7から20.0(+4.3)、フリースローで5.5から9.1(+3.6)へと増えています。これはしっかりとゴール下に詰めてポジショニングする機会の増加がもたらした結果で、ペイント内でのアテンプトは5本近く増えており、その逆でミドルのアテンプトは減少しています。デイビスが強みを発揮できるゾーンで勝負させることをチームとして徹底できているのが今シーズンの大きな変化です。
チームメートもデイビスがポジションを取った瞬間にパスを出す意識が高まっています。特にレブロン・ジェームズは自分の得点よりもゴール下のデイビスを徹底して使っており、レブロンからデイビスへのパスは4本以上増えました。個人技ではなく連携からのフィニッシュになることで、デイビスは安定して得点を奪えています。
デイビスがペイント内の得点を大幅に伸ばした反面、レイカーズはチームとしてペイント内得点が減っています。それはペイント内をデイビスのためのスペースとして設定したからですが、デイビス以外も各選手が使うべきスペースが整理されています。選手同士が適切な距離感を保っているため、パスが連続で繋がるようになり、1試合当たりのパス本数は30本近く増えました。デイビスだけでなく、チーム全体のフロアバランスが改善されたのです。
レイカーズの課題はデイビスがベンチに下がると大きく形が変わり、連携が減ってしまうことですが、それだけデイビスを中心とした形が機能していることを意味し、必ずしも悪いことではありません。まだまだシーズンは始まったばかり。ここから新たなパターンを組み込み、それを使いこなせるようになれるかが、新人ヘッドコーチであるレディックの次のステップになっていきます。