河村勇輝

デリック・ローズの現役引退によりガードは駒不足に

グリズリーズとスコッティ・ピッペンJr.は現状の2ウェイ契約を通常契約に切り替えることを決めたと『ESPN』のシャムス・カラニアが報じた。

ピッペンJr.はブルズ黄金期に活躍したスコッティ・ピッペンの息子で、2022年のNBAドラフトでは指名を受けられなかったが、レイカーズと2ウェイ契約を結んで2022-23シーズンの開幕戦でNBAデビュー。ただし出場6試合のみとトップチームには定着できず、2023-24シーズンの開幕前に解雇された。

それでも昨シーズン途中、ジャ・モラントが肩の手術で戦線離脱した直後のグリズリーズと2ウェイ契約を結び、1月以降に21試合出場、うち16試合ではスタメンを務めた。NBAでの2年間で視野が広がり、チャンスメークの能力を上げたピッペンJr.は、今夏のサマーリーグでトリプル・ダブルを記録するなど印象的な活躍を見せていた。

本来であればモラントに続くポイントガードとして構想していたデリック・ローズが突然の現役引退を決め、マーカス・スマートもケガが多い状況で、ピッペンJr.には2ウェイ契約の上限である50試合以上の出場が見込まれていた。プレシーズンの4試合、平均20.5分出場で10.3得点、4.5アシストと結果を出していることが、今回の通常契約に繋がった。

1チームが保有できる2ウェイ契約の選手は3名までで、グリズリーズはこの3枠をピッペンJr.とジェイ・ハフ、キャム・スペンサーに使用していた。ピッペンJr.が通常契約へと移行することで1枠が空き、これをプレシーズンの4試合で良いアピールができている河村勇輝に与えることも考えられる。

河村は今のエグジビット10契約のままでは開幕後はグリズリーズ傘下のGリーグチーム、ハッスルに行くことになるが、2ウェイ契約を得られれば、グリズリーズとハッスルの両方でプレーできる。これがNBAの最短ルートであり、Gリーグでどれだけ活躍してもNBAに行ける保証はないことを考えると、ここで2ウェイ契約を勝ち取りたい。

ピッペンJr.を通常契約に以降しても、グリズリーズのガード陣はまだ層が厚いとは言えない。ここまでプレシーズンの4試合でモラントは1試合、スマートは2試合にしか出場しておらず、ローズの引退でガードの駒が足りない状況で、ピッペンJr.と河村は想定以上の出場機会を得て、そこで結果を出して評価を勝ち取った。こうしてピッペンJr.は通常契約を勝ち取る。河村もそれに続いて2ウェイ契約へと『昇格』すべく、残り1試合となったプレシーズンゲームで引き続きアピールしたいところだ。