最終クォーターで勢いに乗った三河が前日のリベンジに成功
11月10日、群馬クレインサンダーズvsシーホース三河の第2戦がオープンハウスアリーナ太田で開催された。第1戦は後半に流れをつかんだ群馬が87-77で勝利したが、第2戦は最終クォーターで的確にシュートを決め続けた三河が78-68で勝利を飾った。
第1クォーターでヨハネス・ティーマンとケーレブ・ターズースキーの両ビッグマンがファウルトラブルに陥った群馬に対して、三河は攻守で圧倒し22-10とリードを奪う。しかし、第2クォーターには藤井祐眞の15得点を奪われるなど、追い上げを許してしまう。この時間帯に関してライアン・リッチマンヘッドコーチが「群馬はファウルトラブルになっても、よくコーチングされているチームでした。ゾーンを敷いてきたり様々な対策をされて、スローダウンさせられてしまいました」と振り返るようにリズムがつかめなかった。しかし「後半になると、それを徐々に打開できるようになりました」と評価した通り、我慢の展開の第3クォーターを経て、最終クォーターでリードを奪うことに成功した。
最終クォーターでは、ベンチスタートである長野誠史、石井講祐、角野亮伍、ジェイク・レイマンの4人を10分間使い続けた。この起用法に関してリッチマンヘッドコーチは次のように語る。「あのような状況でコーチが選手に任せることも重要なことだと思っています。それができるだけの信頼が彼らにありますし、私たちは選手層も厚く同じ選手だけが活躍するチームではありません。彼ら4人が素晴らしい仕事をしてくれました」
その4人と一緒に最終クォーターでコートに立ち続けたのが、ダバンテ・ガードナーだった。ともにチームトップとなる31分34秒のプレータイムで19得点を挙げた。手薄になった群馬のインサイドにアタックし続けて、8リバウンドを奪い7つのファウルを受けるなど奮闘が目立った。
「よりハードに試合に臨み、40分間自分たちのバスケットボールができました。これは昨日できなかったことでしたので、しっかりやらなければなりませんでした」とガードナーは試合を振り返り「ディフェンスのプレッシャーを上げて、リバウンドとボールプッシュもやり続けることができました」と勝因を語る。
その言葉の通り、要所で群馬に得点を簡単に許さず、68失点に抑えたのは勝因の1つとなった。リッチマンヘッドコーチもガードナーに対しては「ディフェンスでも活躍してほしいと常に求めています。私の就任以来、彼はディフェンスにトライし続けてくれています。手を使ってディフェンスするのが上手く賢さもあります。総じてディフェンスのパフォーマンスは上がってきています」と話すようにガードナーの献身的なディフェンスもチームを支えた。
この試合でもピック&ロールに対するディフェンスの連携は生命線だった。当然、ガードナー自身もディフェンスが勝敗に直結することを理解している。「今日のディフェンスの出来は非常に良かったです。自分が集中してディフェンスできている限りは、チームとして良いディフェンスが遂行されて勝利に繋がると思います」
「10,000得点よりも、その日の試合に勝てたことの方がうれしかった」
ガードナーは2017-18シーズンから3シーズン連続で得点王に輝いているが、現在はセルフィッシュに得点を取りに行くスタイルではなく、周りを生かすプレーも多く見られる。チームとしてもガードナーをファーストオプションに据えず、バランス良く得点する方針だ。
ガードナー自身も自分のスタッツよりチームメートに意識を向けている。「本当に自分のパフォーマンスは気にしていないです。それよりも毎試合、チームメートがその人らしくプレーできているかを確認したい。そして、その成功をしっかりと喜びたい気持ちがあります。自分のプレーが良くても自分(のパフォーマンス)で喜ぶことはほとんどありません」
前節の秋田ノーザンハピネッツ戦で、史上初のBリーグ通算10,000得点という金字塔を打ち立てたガードナーだが、大記録よりもチームに向けての気持ちが大きかったと言う。「チームのみんなはたくさんのお祝いの言葉をかけてくれました。ただ自分としては10,000得点を達成したことよりも、その日の試合に勝てたことの方がうれしかったです」
ガードナーはこれまでチャンピオンシップ進出を3度経験しているが、いずれもクォーターファイナルで敗退している。自身の得点でチームを勝利に導くこともできるが、それだけでは頂には辿り着けないことも肌で感じているのかもしれない。だからこそ、チームファーストの言葉が続いく。「日本に来て2、3年は自分のスコアを気にすることはありましたが、今はチームが勝つことだけを意識しています」
B1は今節を持って3週間の中断期間に入る。昨シーズンは14試合消化した時点で7勝7敗だったが、今シーズンは9勝5敗の勝ち星先行で中地区4位につけている。ガードナーも昨シーズン以上の感触を得ていると言う。「より一体感を持って、チームとしてプレーできていると感じます。お互いのプレースタイルに慣れてきたことは大きいです」
何度も得点王に輝き、通算得点でも独走している。しかし、個人で得られる栄冠はこれ以上いらないのだろう。本当に欲しい頂点とそれに歓喜するチームメートやブースターのために、ガードナーはブレずに奮闘する。中断期間明けもガードナーと三河の躍進に期待だ。
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