3x3U23女子日本代表

大会最終日、ヨーロッパの3カ国を撃破して頂点へ

3人制バスケットボール『3×3』のU23ワールドカップ、最終日はベスト8以降の全試合が行われ、女子日本代表は準々決勝でオランダ、準決勝でベラルーシ、そして決勝でロシアとヨーロッパ勢を次々と撃破し、優勝を果たした。

準々決勝の相手はオランダ。サイズとフィジカルに長けていることは各選手の身体を見れば一目瞭然。それでも日本代表は、山本麻衣がボールハンドリングで相手を左右に翻弄してのミドルジャンパーを決めて試合をスタートさせる。山本に相手の意識が集中したと見れば永田萌絵が切れ味鋭いドライブでレイアップに持ち込むなど、オフェンスは山本中心であってもボールをシェアして、相手に守りどころを絞らせない。

ディフェンスでは、小柄な山本、線の細い永田が狙われるのは想定内。スイッチされてインサイドで山本が押し込まれる状況になればすぐにカバーが飛び込み、簡単なシュートチャンスを作らせない。また、日本の攻撃が終わった直後、相手がボールを外に持ち出す時点からフットワークを生かしてプレッシャーをかけ、相手の望む形で攻撃を始めさせず、さらには心身ともに相手を疲弊させた。ポストプレーから接触を受けつつ馬瓜ステファニーが決めたバスケット・カウントで17-6。この時点でオランダに戦う気力は残っておらず、22-9で日本が快勝を収めた。

ベラルーシ戦も同じような展開に。試合開始直後に山本が接触を受けてヒヤリとするも大事には至らず。スピーディーでバリエーション豊富な日本の攻めを止められないベラルーシはファウルかさむ。日本がファウルを受けてフリースローを得るようになるとベラルーシはもう競ることができず、16-9で日本が勝利している。

山本麻衣

どんなに警戒されても突破する山本、MVPの個人技

決勝の相手はロシア。永田がいきなりドライブでディフェンスを置き去りにしてレイアップを決める。今回のチームでは3×3経験の浅い永田だが、このファイナルで今まで以上にリバウンドやルーズボールに執着心を見せ、大会を戦う中で成長していることをコート上でのプレーで示す。

ロシアは山本の2ポイントシュートへの警戒を徹底するが、山本は一瞬の隙を突いてクイックリリースでねじ込む。今日の試合が始まる前、2ポイントシュートコンテストに出場して優勝していた山本はタッチが良く、さらには山本に警戒するあまりゴール下にダイブする馬瓜の動きを見逃さず合わせてのイージーシュートも決まり、大事なファイナルで最高の立ち上がりを見せた。

だが、ロシアは高さに加えてクイックネスもスキルもあり、好調な日本のオフェンスに押されながらも食らい付き、強引なプレーで流れを引き寄せる。日本は7-2と好スタートを切ったにもかかわらず11-10まで追い上げられ、終盤に入ると1日で3試合目とあって足は動き続けてもクイックネスのキレが鈍り始め、残り1分で1点差と先の読めない展開に持ち込まれる。

永田萌絵

大会を通じて成長した永田、決勝で大仕事

それでも山本をベンチで休ませている際に、永田が強引なドライブから警戒を打ち破ってレイアップをねじ込む。続いてのロシアの攻めでは馬瓜が相手に飛び込むスペースを与えず、タイミングを狂わせて値千金のターンオーバーを誘う。

この勝負どころでゲームウィナーとなる一発を決めたのは西岡里紗だった。大会を戦う中で同じようなシーンがあったように、相手がディフェンスに100%の集中を入れる時こそ西岡がノーマークになる。身体を張ってディフェンスとリバウンドに徹する西岡だが、フリーでジャンプシュートを打つ機会が回ってくればきっちりとねじ込んできた。この機会にも落ち着いて決めて、残り20秒で17-14として勝負あり。最終スコア19-14で日本が見事な勝利を挙げた。山本は大会MVPにも選出されている。

3×3は東京オリンピックの開催国枠での出場が「男女で1枠」に削減され、男子か女子のいずれかは予選を勝ち上がらなければ自国開催の大会に出場できない状況。今回の優勝は国別ランキングのポイントを稼ぐ意味でも、予選に向けた日本代表の経験という意味でも大きなプラスになる。永田は大学のリーグ戦へ、残る3人はWリーグへと戻ることになるが、それぞれの舞台で3×3の経験を生かしたプレーを見せてもらいたい。