「断る理由が僕からしたらありませんでした」
琉球ゴールデンキングスは、アーリーカップ関西の決勝で京都ハンナリーズに61-73で敗れた。この試合、琉球は2名の外国籍選手のうちジョシュ・スコットが昨年末に負った膝の大ケガからの回復途中でプレータイムを制限されており、さらにデモン・ブルックスが後半開始早々にファウルトラブルから退場となり、日本人選手5人で戦う時間帯も少なくなかった。それを考えるとよく粘った試合内容であり、中でもゴール下への積極的なドライブから15得点を挙げた長谷川智伸のプレーは光っていた。
NBL時代の三菱電機、Bリーグ開幕以降は滋賀レイクスターズ、三遠ネオフェニックスを経て今シーズンに加入した長谷川は、新天地を琉球に決めた理由をこう語る。
「佐々(宜央)さんの熱意、気持ちが伝わりました。そして同期の岸本(隆一)、以前に滋賀で一緒だった(並里)成さんがいたり、他にも一緒にプレーした先輩だったりと知っている人が多い。ファンの方達も熱い。断る理由が僕からしたらありませんでした」
そんな環境ですでに居心地の良さを感じている。「三遠の時のヘッドコーチだった藤田(弘輝)さんがアシスタントで、佐々さんがヘッドコーチで、僕はすごくやりやすい。佐々さんはすごく選手ファーストで考えてくれます。今日のハーフタイムやタイムアウトでもネガティブではなく、ポジティブな発言で僕らを導いてくれる。チームの雰囲気も良く、良いチームになると思います」
長谷川が琉球で意識していること。それは何よりもオフェンス面での働きだ。「もちろんディフェンスをハードにやるのは最低限のことです」と前置きしつつ、「佐々さんは学生時代の僕も知ってくれていて、オフェンスでは大学時代のようにハードにアタックしてほしいと言われています。今シーズンは点を取ることでも自分の地位を確立していきたい」と語る。
「シビアな世界だからこそ負けたくなかった」
オフシーズン、琉球は古川孝敏、橋本竜馬、アイラ・ブラウンなど日本代表経験もあるベテランたちが相次いでチームを去った。それ故にチーム力が落ちたという声も出てくる。
そういった見方は、彼らと入れ替わる形で加入した長谷川も感じている。だからこそ「個人的な思いとしては、去年や一昨年のキングスより結果を出したいと強く思っている」と言う。冒頭で触れたチーム事情もあり、今回アーリーカップで3連覇を逃したのは致し方ない状況であったにせよ、優勝した昨年より成績が後退したことに悔しさを露わにする。
「どれだけ僕らが練習を頑張っても結果で評価されるシビアな世界です。だからこそ、今日だって負けたくなかった。悔しいし、納得いかない思いがあります。次のマカオのテリフィック12、もちろんレギュラーシーズンだって昨シーズンより1勝でも多い成績を挙げたいです」
シーズン前の段階から愚直に結果へのこだわりを見せる長谷川の姿勢は、琉球に良い刺激を与えてくれるはずだ。これから始まるテリフィック12では、「試合を通じて自分がどこまで、チームがどこまでできるか。そして自分もチームもどれだけ成長できているのかをしっかり確かめながらやっていきたい」と意気込む。そんな長谷川の奮闘ぶりに注目してほしい。