キャブズ退団要望のカイリー・アービング、その胸中は「レブロンが演じるバットマンの脇でロビンでいることに疲れた」?

2017/07/24
NBA&海外
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写真=Getty Images

この3年間でレブロンとカイリーの立ち位置に変化

大物フリーエージェントの動向が落ち着いたタイミングで、カイリー・アービングがキャバリアーズに退団希望を突き付けるよう爆弾が炸裂し、NBAはこの話題で持ち切りとなっている。

2011年のドラフト全体1位指名を受けてキャバリアーズに入団したカイリー・アービングは、3年目のシーズンを終えた2014年7月1日に5年総額9000万ドルのマックス契約に合意。この時点でフリーエージェントとなっていたレブロン・ジェームズの復帰が噂にはなっていたが、契約を決めた時点でカイリーの胸にあったのは「自分がこのチームを引っ張っていく」という責任感、若手らしいハツラツとしたチャレンジの意欲だったに違いない。

ところがその10日後、レブロン・ジェームズの契約が決まる。さらに1カ月半後にはケビン・ラブの加入も決まった。『ビッグ3』と言えば聞こえはいいが、レブロンの立ち位置は他の2人と違う。この時点で紛れもなくNBA現役最高プレーヤーであり、マイケル・ジョーダンの『神の領域』に足を踏み入れようとする稀代のタレントだった。

当時のカイリーは、レブロンの加入でチームが優勝争いの有力候補に一躍躍り出たことを大いに歓迎していた。2014年当時にはプレーオフを経験していない22歳だったのだから当然だ。しかし、この2年間でレブロンとの立ち位置は変わった。一昨シーズン、レブロンに負けず劣らずの貢献でキャブズの初優勝に貢献したのはカイリーだった。NBA制覇を決める『ラストショット』を託され、決めたのは、レブロンではなくカイリーだった。

そして昨シーズン、ファイナルまでたどり着くも宿敵ウォリアーズに完敗。勝っても負けても主語は『レブロンが』という状況にカイリーが納得できないとしても理解できる。カイリーの移籍希望をスクープした『ESPN』は「レブロンが演じるバットマンの脇でロビンでいることに疲れた」とその心情を表現している。

もともと火種はくすぶっていたのかもしれない。だが、エゴの強いNBAスター選手の間に火災がおきないようケアしていたデイビッド・グリフィンGMがその職を離れて数週間でキャブズは出火した。レブロンは「全く予期していなかった」と語ったそうだが、やはり火種は以前からあったに違いない。

カイリーを放出するトレードはキャブズ弱体化を意味する

新天地を求めるカイリーのモチベーションは「優勝したい」でも「もっと稼ぎたい」でもない。カイリーとレブロンが協力してもなお、ウォリアーズは容易に倒せる相手ではない。別のチームに移り、レブロン抜きで戦うとなれば、彼にとって2度目のNBA優勝は間違いなく遠のく。また収入を上げるのが目的なら、もっと別の選択肢を取るはずだ。

カイリーが求めているのはフランチャイズプレーヤーとしての立場と責任ある立場だ。ただ、彼が望む移籍先として挙げられているのはスパーズ、ニックス、ヒート、ウルブズの4チーム。これは取りも直さず、「自分が先頭に立って優勝を狙う」という意思の表れである。

ここまで大きく報じられてしまった以上、キャブズとの関係修復は望み薄。レブロンももはや引き留めるつもりはないようだ。放出となれば、カイリーの穴を埋めるだけの即戦力とのトレードをしたいところだが、そんなタレントはNBA中を見回してもそうはいない。カーメロ・アンソニーと指名権をセットでニックスとトレードする案などがメディアには出ているが、それらはすべてキャブズがもうウォリアーズに対抗できないチームになることを意味する。

キャブズは崖っぷちに立たされた。この状況を見て思うのは、NBAで強力なロスターを擁するチームはいつ瓦解しても不思議ではないということ。そしてもう一つ「ウォリアーズは非常にうまくやっている」ということだ。ファイナルの時点ではウォリアーズこそ解体が懸念されていたのだが、スター選手をうまく引き留めた。『ウォリアーズ1強体制』はさらに強まっている。