「母の意思を受け継いで、この活動を行っている」

ヒートはプレーイン・トーナメント敗退で早々にシーズンを終えた。プレーオフでの勝負強さを幾度となく発揮してきたヒートにとっては悔しい結果で、チームリーダーのバム・アデバヨにとっても不本意な終わり方となったが、現地5月22日に彼には2つのうれしい知らせが届いた。オールディフェンシブ・セカンドチームとソーシャルジャスティスチャンピオン賞の受賞だ。

オールディフェンシブ・セカンドチームの受賞については「自分では毎シーズンでファーストチーム入りに相応しいプレーをしているつもりだけど、選んでくれたものを受け入れたい」と語るに留めた。2024年にオールディフェンシブ・ファーストチームに選ばれ、セカンドチームはこれで5度目とあって、受賞にフレッシュな驚きはないのが正直なところだ。

一方で、地域社会への貢献が評価されるソーシャルジャスティスチャンピオン賞はアデバヨを喜ばせた。「ヒートの歴史上、この賞を受賞したのは僕が初めてだ。その快挙を成し遂げられたことを光栄に思う。これは僕が地域社会のために注いだ情熱の証だ。本当の賞は、自分の活動が多くの人の人生を変えていく様子を見られることだけど、こうして活動が評価されるのはうれしい」

アデバヨはNBA入りした当初から地域貢献活動を行っていたが、2021年の財団設立を機に活動はより活発になった。シングルマザーの家庭で育った彼は、経済的な余裕がない中でも教育を重視し、本を読む機会を与えてくれた母親をお手本とし、子供たちに本を送る活動に力を入れている。NBA選手としての知名度を生かし、ヒートの全面的バックアップも得て、十分な支援を受けられていない若者やその家族をサポートしてきた。

「あらゆる立場、あらゆる背景を持つ人々とかかわり、その力になりたい。これは注目を浴びるためにやっているのではなく、人々を助けたいと心から思ってやっていることだ。僕が育ったコミュニティには、僕の人生に影響を与えるような大人がいなかった。その中で母は常に『他者に分け与える人』だった。僕は母の意思を受け継いで、この活動を行っている」

最近の活動でアデバヨが最も気に入っているのは、ヒートのホームアリーナで行ったおもちゃの寄付活動、『トイ・ドライブ』だ。昨年のクリスマスに合わせて集めた5000個のおもちゃをカセヤ・センターのコートに並べて、1500人の子供たちにプレゼントした。

「試合のスケジュールが詰まっていた時期だから準備は大変だったけど、自分のお気に入りのおもちゃを選んでいる子供たちを見るのは幸せだった。この寄付活動が、いずれ彼らが人生の課題に直面した時に、自分で考えて乗り越えるための自信に繋がってくれればと思う」とアデバヨは語る。

「これまで何度か表彰されて、賞は取れば取るほど多くの賞が欲しくなるものだ。でもこの活動は賞のためではなく、ただ『誰かを助けたい』という気持ちを行動に移しただけ。地域社会がなければアリーナに人は集まらない。応援してくれる人たちがいるおかげで僕たちはバスケができる。その恩返しがこの活動だから、ある意味ではトレードオフだよね。みんな試合に来て全力で応援してくれる。僕はみんなのために尽くす。最低限の務めだよ」

ソーシャルジャスティスチャンピオン賞を受賞したことで、アデバヨが選んだ非営利団体にNBAが10万ドル(約1500万円)を寄付する。アデバヨの財団は今シーズン、18の取り組みに56万ドル(約8400万円)を費やしてきた。NBAからの寄付により、その活動はさらに広がるはずだ。