
「チームの将来を縛るような『愚かな動き』はしない」
パット・ライリーは年に一度、シーズンが終わったタイミングで会見を行い、球団社長としてシーズンを振り返り、ヒートの中長期的なチーム作りを語る。現地4月27日に行われた会見の冒頭で、「まずは私についての不確かな報道について触れておきたい。私は引退しない。辞任もしない。勝ちたい気持ちは31年前の就任会見と変わらない。私の願いは勝つことであり、しかも圧倒的に勝つことだ」と語った。
昨シーズンのジミー・バトラー退団で、チームは方向転換を余儀なくされた。それでもバム・アデバヨにタイラー・ヒーローと、バトラーとともにチームを支えてきた主力をそのまま軸とし、ライリーが「少しリセットした」と表現する変更を行った。
派手な補強はなく、それでプレーオフ進出を逃したのだから失敗のシーズンだったと言わざるを得ないが、ライリーによれば中長期的なチーム作りは進められている。
「今の我々には柔軟性があり、資産もある。新しい難問、タックスエプロンも回避できた。熟考の末にこの道を選び、今の立ち位置には満足している。今年は指名権が2つ、例外条項が少なくとも4つある。必要に応じて選手を補強できるし、死ぬほどアグレッシブに動くつもりだ」
今オフは、ヤニス・アデトクンボやレブロン・ジェームズといったビッグネームを獲得できるチャンスが訪れるかもしれない。ただ、ライリーは「死ぬほどアグレッシブ」ではあっても、チームの軸がアデバヨであることは絶対だと言う。
「信じられないようなオファーが来てもバムのトレードには応じない?」との問いに「しない」と断言した。「例えばホークスは良い動きをした(トレイ・ヤングの放出)と思うが、バムはこのチームの大黒柱であり、文化の体現者だ。指名権を8つ積まれてもトレードには応じない」
一方で、残り契約期間が1年となるヒーローとの契約交渉については慎重な構えを見せる。「今は高額契約には慎重であるべきだと思う。これは選手を否定する意味ではなく、柔軟性がそれだけ重要だということだ。タイラーの能力は誰もが認めるところだが、今はそれが誰であれ長期契約で縛られたいとは思わない。ウィッグス(アンドリュー・ウィギンズ)もノーマン(パウエル)も、ここに残りたいと言ってくれている」
『バトラーの時代』が終わった後、アデバヨを軸に新たな時代を築く。ただ、この1年は体制変更に伴う準備にあてられた。「バムを助ける意味でも補強は必要だと感じている。フリーエージェントやドラフト、トレードで積極的に動くが、チームの将来を縛るような『愚かな動き』はしない」とライリーは言う。
「若手はなかなか計算できない」とは言うが、エリック・スポールストラが根気強く若手を育て、ペレ・ラーション、ケレル・ウェア、ハイメ・ハケスJr.と新たなローテーション選手が台頭していることに手応えを感じている。一方で伸び悩んだニコラ・ヨビッチには厳しい檄も飛ばしている。「シーズン最後の面談で、私の部屋にあるロスター表から彼の名前が書かれたマグネットを彼に外させ、『お前は先発候補だった。チャンスをつかみ取れ』と伝えたよ」とライリーは明かす。
「メディアの皆さんは私が若手嫌いだと思っているだろう。確かに私は経験ある選手を好む。トップ5指名でもない限りはドラフトはギャンブルのようなもので、フリーエージェントやトレードのほうが確実だ。しかし、今は育成の時代であり、スポ(スポールストラ)は良い仕事をしている。今オフは指名権も例外条項もある。バムを勝たせるために、それらを上手く活用するつもりだ」