ヴィック・ロー

「今回出場すること自体が特別であり、感謝しています」

琉球ゴールデンキングスは今週末に5年連続となるファイナルの舞台に立つ。チャンピオンシップではクォーターファイナルでシーホース三河、セミファイナルで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと、共にレギュラーシーズンでは負け越している相手との対戦だった。しかし、チャンピオンシップの琉球はレギュラーシーズンと違うことを今年も証明し、それぞれを連勝で撃破。4試合の内、3試合で14点差以上の勝利と盤石の試合運びを見せた。

琉球のヴィック・ローはレギュラーシーズンで平均16.7得点、6.9リバウンド、3.8アシストを記録。プレータイムを分散し、チームで戦うのが特徴の琉球においても、攻守の両方でチームを支える中心選手だ。ファイナル進出を決めた名古屋Dとのセミファイナルゲーム2で25得点7リバウンドと活躍したローは、ファイナルについて「再びプレーすることができて幸運ととらえています」と語る。

ローにとって、ファイナルは琉球加入前の千葉ジェッツ時代を含めて4年連続となるが、過去3年はそろって敗れている。琉球にとっても過去4度のファイナルで1勝3敗。昨シーズンは勝てば優勝となるゲーム3で第4クォーター序盤に2桁のリードを奪いながら痛恨の逆転負けを喫した。

この悔しさをなんとしても晴らしたい気持ちはあるだろうが、ローは何よりも感謝を強調する。「過去に何があったにせよ、僕にとっては再び恵まれた機会を得たというメンタリティです。どんなに特別な機会であったとしても、何度も負けてしまうと多くの人々は打ちのめされてしまうと思います。しかし、皆さんも知っている通り、何度倒されてもそこから立ち上がることが重要です」

「結果はどうあれ5年連続ファイナル出場は特別です。もちろん優勝したいですが、出場すること自体が特別であり、感謝しています。本当に興奮していますし、うれしいです。三河、名古屋Dとレギュラーシーズンでは苦戦を強いられました。そんな手強い相手に勝ち抜けたことを心から誇りに思います」

ヴィック・ロー

「沖縄でプレーしたことで、選手としてだけでなく人間としても大きく成長」

振り返ればレギュラーシーズンの琉球は、ホームでの連敗スタートから始まり、開幕直後に中心メンバーのケヴェ・アルマの離脱に伴う外国籍の入れ替えなど、様々な困難に直面した。シーズン中盤以降は、僅差とはいえチャンピオンシップ圏外の順位にいるなど、過去と比べ最も厳しい立ち位置にいた。

それでも琉球は抜群の一体感でチーム力を確実に高め、今年もファイナルの舞台へと戻ってきた。「キングスには確固たるスタンダードがあるからこそ、メディアの皆さんが時に僕たちを批判し、責任を問うことも当然だと思います」と語るローは、この山あり谷ありの道のりをこう振り返る。

「チームメートの誰かが話していましたが、プレシーズン、EASL(東アジアスーパーリーグ)、天皇杯をあわせ、今シーズンはこれが80試合目になります。特に外国籍選手にとっては、『もう疲れた。早く帰国して家族に会いたい』となりやすいものです。今シーズンは、本当にいろいろとありました。まるでいくつかの章に分かれていて、序盤に苦戦し、ケヴェが去り、スクーティ(アンドリュー)・ランダルが加入。そしてランダルに代わってデイミアン(ドットソン)が加入し、彼をチームに馴染ませる必要がありました。これまでのすべての経験が、僕たちをファイナルへと導いてくれました」

今やローは、リーグを代表するエリートプレーヤーの地位を確立しているが、選手としてより成熟できたのは琉球という組織、ファンのおかげだと強調する。

「コーチ・ダイ(桶谷大ヘッドコーチ)に、佐々(宜央)、ケン(穂坂健祐)、(アンソニー)マクヘンリーのアシスタント陣、ジャック・クーリーに岸本(隆一)、小野寺(祥太)といった選手に加え、こんなに素晴らしいファンの下でプレーできたのは幸運です。皆さんにはハイライト映像のナイスプレーやブザービーターといったカッコいい場面が見えていると思います。でも、このチームは、カッコいい場面ではなく、僕の酷い姿、怒鳴っている場面、調子の悪い時、ケガをしている時も見てきました。それでも何度も僕を受け入れてくれました。これこそ選手が望む形です」

「また、僕がBリーグに来た当初は、『また、短気な外国籍選手が来たのか』といった見られ方もあったと思います。千葉Jにいた時、僕はまだ学びの途中で、日本の文化をしっかりと理解できていませんでした。それが沖縄に来て、ファンの皆さんとの繋がりが深まったおかげで、自分から一歩踏み出して日本の文化に浸ることができました。自分のことを『あの選手より上だ』というつもりはないです。ただ。沖縄でプレーしたことで、選手としてだけでなく人間としても大きく成長できました。」

最後にローは、琉球にとって2度目、彼個人としては初のリーグ優勝へ向け、「正直、このまま勝ち進んでいけるのか、自分たちのことをあきらめてしまうような状況は何度もありました。だからこそ、このファイナルはより一層特別です。また、優勝のチャンスが巡ってきたことにワクワクしています」と語る。自身初の栄冠へ向け、心身ともに充実した状態でコートに立つ。