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「デュラントはファイナルMVPに相応しかった」

ウォリアーズのステフィン・カリーは、今シーズン開幕からケビン・デュラントを含むチームケミストリーを優先させてきた。昨シーズンまでなら自らシュートを打っていたような場面でもチームプレーを優先し、時にはデュラントに配慮しすぎていると批判されたこともあった。デュラントは「ステフには『僕のことを気にせず、自分のプレーをしてくれ』と指摘したこともある」と明かす。

もっとも、『チューニング』に要した時間はそれほど長くはなかった。レギュラーシーズン後半にチームは完成形を見いだし、カリー自身も調子を上げた。そして勝負の懸かったポストシーズン、ウォリアーズは圧倒的な強さを見せ、ファイナル第3戦まで負けなしの15連勝。キャバリアーズに1敗こそ許したものの、2年ぶりの優勝を決めたファイナル第5戦では、デュラントとカリーを中心に圧倒し、誰の目にも明らかな形で王座を奪い返すことに成功した。

6月15日に行なわれた優勝パレード後、カリーが取材に応じた。彼が最初に語ったのはデュラントへの称賛だ。「デュラントのように効率の良いプレーができて、チームを優先に考える選手を獲得できるチャンスを棒に振ったら、それこそ間抜けだよ。彼は間違いなくNBA史上に残るスコアラーだ。ファイナルでの活躍は本当に素晴らしくて、ファイナルMVPに相応しかった」

またカリーは、チームファーストの姿勢を貫いたウォリアーズの手法についても触れ、「彼自身も、『チームメートがいなかったら自分は何もできない』と言うだろうし、それは僕たちも同じさ」と語った。

ここ3年で優勝2回という実績を残したウォリアーズだが、数年前までは西カンファレンス中位のチームにすぎなかった。今では古参となったカリーも、新人時代はケガに悩まされ、選手としても乗り越えるべき壁はいくつかもあった。

選手として成長した結果、NBAを代表するスーパースターにまで上りつめ、2015年と16年にシーズンMVPを連続受賞したカリーにとっても、昨年の『悪夢』は忘れ難い経験だったと言う。

2016年のファイナル第4戦を終えて3勝1敗と王手をかけながらも、第5戦から3連敗。キャブズがNBAファイナル史上初、1勝3敗からの大逆転優勝を飾った瞬間を、あろうことか本拠地オラクル・アリーナで目撃させられる屈辱を味わった。

カリーは、1年前の悪夢を振り返ってこう言う。「バスケットボールでも、人生でも、痛みを伴うことが成長させてくれる。その経験が自分を高みに連れていってくれる」

カリーはインタビュー中、1年を通じてチームを支えてくれたファンへの感謝も口にした。また、インタビュースペースで記念撮影をしたがっていたファンに気がつき、リポーターに「ファンの皆にここを使ってもらっても構わないかな?」と申し入れるなど、ファンへの気遣いも忘れなかった。