U19ワールドカップに挑んだ日本代表はベスト8進出を果たすも、ベルギーに敗れ5~8位決定戦に回り、最終的に8位で大会を終えた。アメリカのルイビル大へ進学する今野紀花は今大会を自身をアピールする場ととらえていたが、コンディションが上がらず「あまり良くなかった」と大会を振り返る。だが、うまくいかなかったこと自体が少ない今野は、今回の経験を経て新たな感覚が芽生えたという。大会を終えた今野に話を聞いた。

所属先がなく、苦労したコンディション調整

──メダル獲得を目標にしたワールドカップを8位で終えました。この結果をどのようにとらえていますか?

このチームだったらもう少し上を目指せたと思っていたので、ベスト4には食い込みたかったです。フィジカルの足りなさも感じましたが、私たち選手の理解度などでもっとできたんじゃないかって、終わってみて思いました。

日本は足があるチームなので走ることを大事にしたかったですが、ファストブレイクが出せないゲームもありました。ハーフでのセットオフェンスの遂行力や、それを止められた時の次の展開、フリーでのパス回しやカッティングの判断、そういうのが決勝戦を見て足りなかったと感じました。

──今野選手にとっては、ルイビル大に行く前に自身をアピールする場でもありました。非凡なプレーを見せていましたが、個人的には満足なプレーはできなかった印象でしょうか?

渡米前でどこにも属していなかったので、コンディションを整えることが大変な時期で、自分としてはあまり良くなかったです。このワールドカップで活躍して、大学に繋げられたらと思っていましたが、うまくいかなかったです。でも、それ以上に学べたことがありました。

今野紀花

「八村さんとか渡邊雄太さんみたいなパイオニアに」

──「それ以上に学べた」というのは具体的にどんなことでしょうか?

今までは最大のパフォーマンスを出せる状況で試合をしていて、うまくいくことも多かったですし、調子が悪い時も「もっとできるはずなのに」と自分にフォーカスしていました。でも今回は、調子が良くない中で「自分にできることを探して貢献しよう」という思いが強くなりました。世界と戦うということは自分にできることを探して、全員でそれを繋いでチームで戦わないといけないと感じたんです。

今までだったらステップをしてキレイに決めようとか、クロスオーバーで抜こうとか、もっとこういうプレーをしたいなというこだわりがありました。でも、リバウンドとかディフェンスでもっと貢献できることがあるんじゃないかという視点を持てるようになりました。アメリカに行く前に大事なことを学べたと思います。

──渡米前に初心に帰るというか、新たな価値観を見いだせたのは収穫ですね。渡米が近づいてきたと思いますが、現在の心境はいかがですか?

これからやることがたくさんあるので不安もありますけど、ワクワクというか楽しみな気持ちです。大学に向けて前向きに頑張ろうと思っています。

──現在日本バスケ界は八村選手を筆頭に大きな盛り上がりを見せています。アメリカの進学を決断した身としては八村選手を意識したりしますか?

もちろんあります。アメリカの大学を出たことによって成長したと思ってもらえたら、アメリカに行きたいと思う人も増えると思います。なので、活躍して結果を残すことは大事だと思っています。

アメリカで結果を出して、八村さんとか渡邊雄太さんみたいなパイオニアになりたいです。東京オリンピックはまだ早いと思いますが、日本代表入りを目指し、2024年に向けて頑張ります。