U19女子日本代表

体格の不利をカバーして粘るも、得点力不足に泣く

U19ワールドカップを終えた日本代表が帰国した。大会初戦でヨーロッパの強豪ドイツに競り勝ち、コロンビアとハンガリーも撃破してベスト8へと駒を進めたが、ベルギーに完敗を喫した。その後の順位決定戦ではカナダ、マリを相手に接戦を落とし、8位で大会を終えている。

奥山理々嘉がコンディション不良で思うようにプレーできず、野口さくらは大会途中で体調を崩した。180cm台の動ける選手の不調は、ただでさえ高さとパワーで不利となる世界での戦いで、ディフェンスとリバウンドの面で大きなマイナスとなった。それでもスペイン戦を除いては失点は60点台で、不利を抱えながらもチーム一丸の奮闘で踏ん張ったと言える。43-63と大敗したベルギー戦でも第3クォーターまでの失点は42と守れていた。

競った試合を勝ちきれなかった要因はオフェンスの停滞だ。リバウンドが取れないためにトランジションに持ち込むことができず、東藤なな子と今野紀花、2人のエースがドライブで打開できないと、その次の手がなかった。萩原美樹子ヘッドコーチは「ドライブを守られてパスの出しどころを守られた。それをスペインとベルギーにやられて、正直そこまでやってくるとは思いませんでした」と振り返る。「そういう意味ではA代表も含め、日本に対してこれだけアジャストしてくるステージに来たんだと感じました。トランジションだけではダメ、ドライブだけでもダメで、その次のことを考えなければいけない」

トム・ホーバスが率いるA代表も含め、日本女子の走力とシュート力を最大限に生かしたスモールバスケットは世界から注目されるレベルに達した。だがそれは、相手の対策が進むことも意味する。速攻が出せない、ドライブでも打開できずにハーフコートオフェンスになると、日本はその持ち味を出せなかった。

「ハーフコートオフェンスがまだなかなか理解できない年代ということもあって、ピックを使ってどうこうのプレーで迷ってしまうことが多い。迷うぐらいならドライブに行っておいで、と。その準備はしてきたつもりでしたが、引き出しが足りませんでした」と萩原コーチも認める。

U19女子日本代表

奮闘を続けた竹原レイラ「強気に行けば戦える」

今回のU19日本代表は「今野と東藤のチーム」だった。その2人のエースに負けない存在感を見せたのが竹原レイラだ。185cmはどのチームのセンターよりも小さく、体格で圧倒される中でも彼女がインサイドで踏ん張り続けたことが、日本のディフェンスの粘りを生んだ。

「最初の2試合は本当に自分が悪くて、相手のセンターが大きいから身体を張って止めないといけないと思ったんですけど、気持ちの面で落ちて押されてしまってプレータイムも伸びず、本当に悔しかったし情けなかったです。でも中一日を挟んで気持ちを切り替えてやった時に、気持ちで強気に行けば戦えると思いました」

もっとも、『ディフェンスでは奮闘するもシュートが入らない』チームに竹原も歩調を合わせるようなプレーで、相手の大型センターをペイントエリアの外に引っ張り出すような形でミドルレンジからのシュートを多く打ったが、決められなかった。

「一番大事な時に確率が悪くてシュートが入りませんでした。あとはシュートを決めるだけのところまでは行けたんですが、そこで決めるのが大事。やっぱり海外の選手を見ると、そこを決めきる力がすごくあるので、自分は本当にまだまだだなって」

帰国した空港でチームは解散。竹原の涙をきっかけに、選手たちはU18から続くこのチームでの活動が終わることに大泣きした。萩原コーチは言う。「ベスト4進出を懸けた試合に負けた時に選手たちはすっごい泣いていました。本気でメダルを取りに行っていた気持ちが伝わって、結果は残念だったと思いますが、その気持ちはうれしかったです」

来年には東京オリンピックが控えているが、彼女たちの次の目標は現実的には『2020年以後』となる。ベスト8に終わったワールドカップが、このチームにとって成功だったのか失敗だったのか、その評価が定まるのは数年先のことになる。