
「それでも勝てるチームへと成長していきたい」
ホーネッツの『魔法のシーズン』は夢のように素晴らしく、夢のように呆気なく終わってしまった。開幕から3カ月で16勝28敗と大きくつまづき、早々にタンキングに入るかと思われたチームは、そこから9連勝を皮切りに28勝10敗と優勝候補のような好成績を残した。
ケガ続きだったラメロ・ボールが72試合出場とコンスタントに活躍し、速いペースを作りつつ創造性溢れるパスでチャンスを作り出し、自らも20.1得点を記録。ブランドン・ミラーはラメロを上回りチームトップの20.2得点を記録し、コン・クヌッペルはリーグ屈指のエリートシューターとして最高のルーキーシーズンを送った。
そんな鮮烈なバスケの集大成が、延長の末にヒートを破ったプレーイン初戦だったのだが、続くマジック戦では前半だけで31点差を付けられ、完膚なきまでに叩きのめされた。ホーネッツの華麗なバスケは、マジックの『プレーオフの強度』に粉砕され、解説を務めたスタン・ヴァン・ガンディに「大人と子供の試合だ」と言われるほど差があった。これでホーネッツは10シーズン連続でプレーオフを逃したことになる。
それでも、ホーネッツはこの10年間で最も魅力的なバスケを見せたし、これは来シーズンにも繋がる。先発の全員が契約を残しており、2月に加入したコービー・ホワイトも新契約を結ぶ意向だ。豊作の年と言われるNBAドラフトでは1巡目指名権を2つ持ち、サラリーキャップにも余裕があるため、補強もしやすい。
そして何より、ポテンシャルを秘めた若い選手たちがシーズン終盤に意味のある試合を戦い、『プレーオフの強度』を経験できた。
敗戦から一夜明け、シーズン最後の会見に臨んだヘッドコーチのチャールズ・リーは、チームの成長をこう語る。「これまで以上に勝利や成長に貪欲なメンタリティを持ち、実際に多くの試合に勝ち、周囲からの評価を変えてみせた。最高の結末とは言えないが、成長と進歩を心から誇りに思う」
「選手たちはまだ闘志に火が付いたまま。それはオフに成長するための燃料になる。我々は良い戦いをしたが、十分ではなかった。全員がそれを理解し、前進し続けたいと願っている」
エースのラメロ・ボールは「あきらめてもおかしくない状況から全員が団結して盛り返し、ここまで来た。そのことをうれしく思っている」と語り、今シーズンと同じアプローチでコンディションを作り、コンスタントな活躍を来シーズンへと継続させるつもりだ。
「ウェイトルームでの身体強化もケアも、やれることはすべて徹底的にやった。それは自信になったし、今回の悔しい気持ちを新たなワークアウトや身体作りにぶつけるつもりだ。来シーズンにもっと成長するためには、この悔しさを忘れないことが一番大事だと思う」
MR 1OF1 ❗️#ProtectTheHive x @MELOD1P pic.twitter.com/J1jFztnfm6
— Charlotte Hornets (@hornets) April 15, 2026
キャリア8年目の生え抜きであるマイルズ・ブリッジズは、勝てない時期を長く経験しているだけに、今シーズン中盤からの躍進に大きな手応えを感じている。「ファンの熱気も増したし、何より僕たちが自分自身を信じるようになった。正直、どんな試合でも『絶対に勝つ』という気持ちで臨むメンタリティは以前にはなかった。相手もウチの試合で主力を休ませることがなくなり、リスペクトを感じる。それは強いチームの証だし、それでも勝てるチームへと成長していきたい」
そのためには華麗で鮮烈な今のバスケだけでなく、フィジカルの削り合いに耐え、シュートが入らない展開でも粘り強く勝ちを拾うような『プレーオフ向きの』フィジカルとメンタルが必要となる。「来シーズンはNBAで最もフィジカルなチームになりたい。そういう気持ちで身体を鍛えるつもりだ。フィジカルで負けないチームになるには単純なフィジカル以上にメンタルが問われると思う。メンタルを鍛えるにはバスケを学ぶしかない」
ホーネッツの中でも最も大きな悔しさを持ち、フィジカルを鍛える必要性に迫られているのがコン・クヌッペルだ。レギュラーシーズンには親友のクーパー・フラッグとルーキー・オブ・ザ・イヤーを争う素晴らしい活躍を見せたものの、プレーインの2試合ではフィジカルのレベルが上がったことに対応できず、完全に沈黙してしまった。
「言い訳をするつもりはない。シーズンを通して良い感じでシュートが打てていたのに、最後で崩れてしまった。試合の終盤をベンチで過ごしたのは悔しい。チームのために戦いたかった。でも、僕を出さないのが正しい判断だったのも分かっている」とクヌッペルは語る。
「オフにどんな練習をするかは、これから育成担当コーチとじっくり話し合う。大事な試合になればなるほどフィジカルなぶつかり合いが増える。それに耐えるだけじゃなく、押し返すぐらいの強さを身に着けたい。正直、この1年は試合数が多くて大学よりずっとキツかった。来シーズンはそれに慣れるためにも、このオフにいろいろ試して自分に合ったやり方を見付けるつもりだ」
今シーズンの勢いが本当の実力になり、来シーズン開幕からその強さを発揮できるのであれば、ホーネッツはプレーインを回避して6位以内を確保し、11年ぶりのプレーオフ返り咲きを果たせるはずだ。夢のようなシーズンは終わってしまったが、彼らはそれぞれ次の夢に向かってすぐさま再始動する。