マックス・ストゥルース

アトキンソンの「プレーオフ・マックスが来る」が的中

プレーオフのファーストラウンド初戦、キャバリアーズはホームでラプターズに勝利した。前半こそ競ったが、第3クォーターを36-22と圧倒して最大24点のリードを奪い、終盤に余力を残しての完勝だった。

ドノバン・ミッチェルは32得点、ジェームズ・ハーデンは22得点10アシストと、2月に結成されたデュオがオフェンスを引っ張った。それだけでなく、ベンチメンバーも含めて攻守の強度の高さを落とさない戦いぶりで、ラプターズに付け入る隙を与えなかった。

多くの選手が本領発揮となったこの試合で一際目立ったのがマックス・ストゥルースだ。シーズンオフの個人ワークアウト中に左足小指を骨折し、リハビリが予想以上に長引いたことで復帰が3月までずれ込み、レギュラーシーズンでは12試合にしか出場できなかった。すでに出来上がったチーム内で役割を見付けるのは簡単ではなかったが、ヘッドコーチのケニー・アトキンソンが「プレーオフ・マックスが来る」と予言していた通り、ベンチから24分の出場で3ポイントシュート4本成功を含む24得点を記録した。

アトキンソンは「7カ月の戦線離脱から復帰するまでの苦労は計り知れないが、日頃の様子を見れば、良い準備をしてプレーオフを迎えられるのは分かっていた」と語る。

守備の強度が上がり、お互いの手の内を知り尽くす中での戦いとなるプレーオフに求められる闘志と冷静さをストゥルースは備えている。24得点は彼にとってのプレーオフ・キャリアハイだが、アトキンソンは「それ以上の貢献があった。彼がディフェンスを引き付けることでスペースができ、それが点差を広げるきっかけになった」と絶賛する。

試合後の会見に、ストゥルースはハーデンとともに登場した。ハーデンは隣に座るストゥルースを「彼はスタッツを気にせずプレーする男なんだ」と称える。「24得点を記録したけど、彼にとって数字はオマケでしかなくて、彼の本当の価値はスタッツに表れない部分にある。声を出してチームの士気を高め、(ブランドン)イングラムのような相手のエースを抑え込むことでチームに貢献できる」

ラプターズで最も爆発力のあるイングラムは執拗なマークに苦しみ17得点に終わった。得点よりも、レギュラーシーズンで16.7本を放ったフィールドゴール試投数を9に抑えたことがキャブズ守備陣の優位を表している。ストゥルースはイングラムのマークを担当したが、「それはディーンの功績だよ」と、ウィングのポジションで先発したディーン・ウェイドに手柄を譲った。

「スターターが最初に試合のトーンをセットしてくれた。特にディーンは積極的に点を取りに来るイングラムに対して素晴らしい集中で対応した。イングラムは自分の得意なスポットに行けば高い打点で確率の高いシュートを打ってくる。ディーンはイングラムをそのスポットに行かせなかった」

先発のウェイドが23分、ストゥルースが24分プレー。同じくベンチから出たジェイロン・タイソンも含めて、常に屈強なディフェンダーがフレッシュな状態でイングラムにフィジカルに当たり、心身ともに疲弊させてリズムをつかませなかった。「ディーンがトーンを決めて、僕らはそれに続く。全員がゲームプランを遂行した結果だ」とストゥルースは事もなげに語った。

チャンスをきっちり決めていく得点力についても、ストゥルースは手柄をチームに譲った。隣に座るハーデンを見ながら「彼のパスは明らかに違うんだ」と語る。「トップレベルで長くプレーして、周囲を生かす術を知り尽くしている。そういう意味で彼は世界一だし、史上最高かもしれない。彼と一緒のチームにいられるのは幸運だよ。おかげでプレーが簡単で済むからね」

大活躍した試合の後で、こうして謙虚に仲間の働きを称え、チームの雰囲気を盛り上げていけるのもストゥルースの能力であり、アトキンソンもハーデンもスタッツ以上にこの人間性を評価している。

もっとも、まだ初戦に勝っただけ。ストゥルースは今後も攻守両面でチームを支えていく覚悟だ。「ディフェンスが優勝をもたらすと言われるけど、勝つには相手より多くの得点が必要だ。オフェンスでも貢献できる方法を探し続ける。それと同時に、僕らのカギはやはりディフェンスだと思う。守備が攻撃に火をつける。自分たちの強みを理解して、それを最善の形で遂行していきたい」